エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.274
2013.10.29 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「VAG Guide」は、長モノグラフィックスカードの歪みを防止する。「Guide nut」で高さを調節し、「Guide Clip」でグラフィックスカードの末端近くを下支えすれば、拡張スロットに対して平行に基板を固定する事ができる。単純なギミックながら、重量級カードがまっすぐにマウントされる様は安心感がある。
搭載するグラフィックスカードに合わせ、高さを調整して使用する「VAG Guide」。スポット冷却用として冷却ファンを固定する事もできる |
マザーボードトレイの一部を切り抜いただけで便利に使える、CPUクーラーメンテナンスホール。開口部は実測で最大縦約130mm、横約150mmだった。「Reserator3 MAX」のバックプレートが干渉することもなく、きちんと役割を果たしている。
カットアウトの寸法も十分なメンテナンスホール。今や、コレがないPCケースを探す方が難しいほど、急速に普及したデフォルトギミックは、いざというときに役に立つ |
最後にケーブルマネジメント機構の使い勝手について解説しておこう。「Z3 PLUS」は全幅192mmというスリムなスタイルから、マザーボードトレイと右サイドパネル間の有効なスペースはほぼ無い。そのため、マザーボードトレイにはケーブル配線用の凹みが設けられ、さらに右サイドパネルには凸部をつける事で、裏配線ができるようになっている。このように通常のミドルタワーPCケースに比べて若干の制約はあるものの、設計を理解して上手にケーブル処理を行いたい。
凹みに合わせてケーブルを配線すれば、サイドパネルをスムーズに閉めることができる | |
マザーボードトレイの凹みや、サイドパネルの膨らみを上手に使って、「裏配線」を楽しもう |
快進撃を続けるZALMANのローコストミドルタワーPCケース。新旧モデルの入れ替えも鮮やかなもので、売価5,000円クラスの高いシェア率はそう簡単に崩せるものではなさそうだ。
現状を勝手に分析すると、2つの理由が隠されているように思う。ひとつは「これでいいだろう」という空気だ。
冷却機器では十分に著名なZALMANだが、PCケース部門では決してメジャーブランドではなかった。しかしこの「伏兵」が市場に送り込んだ「Z9 PLUS」シリーズが爆発的ヒット作となり、バリュークラスのシェアを一気に拡大することになる。これに機に、バリエーションモデルや今回取り上げた新作「Z3 PLUS」まで複数のモデルを投入。「ローコストミドルタワーPCケース=ZALMAN」というイメージを短期間で作り上げた。ライバルの多い価格帯だから選択肢は数多くあるはず。だが「人気があるから間違いないだろう」という空気を勝ち取ったZALMANの圧倒的な勢いは、ライバルを寄せ付けない強さがある。
もうひとつは売価を感じさせない、上位クラスに匹敵する「お値段以上の内部設計」にある。重箱の隅をつつけば、若干怪しげな点が見受けられるものの、おおむねクオリティは及第点以上で、内部設計も売価1万円クラスのミドルタワーPCケースに見劣りしない。そんな意外性は、「お得感」と言い換える事ができるだろう。
市場からの絶大なる支持を得続けるZALMANのローコストミドルタワーPCケース。新作「Z3 PLUS」も従来モデル同様、誰もが納得するクラス以上の出来映えだった。