エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.275
2013.11.01 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ここからは、先ほどまでのベンチマーク中におけるグラフィックスカード本体の挙動を、GPUコア温度とファン回転数から読み取ってみたい。果たしてメーカーチューンによって「Twin Frozr 4S」はどう動きを変えるのか、「3DMark」の“Extreme”プリセットを使用した計測でチェックしてみよう。なお、ベンチマーク実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として「GPU-Z 0.7.3」による計測を行った。
GPU温度計測 | |
ファン回転数計測 |
50MHzのクロック差では影響が少ないのか、コア温度とファン回転数ともに大きな差はついていない。ちなみに、ファン回転数は30%未満でもコア温度が74℃を記録していることから、「Twin Frozr 4S」クーラーは70℃半ばまでの温度は許容しつつ低回転を維持している様子が見て取れる。あくまで静音をターゲットにした安全圏内における動作ではあるものの、もしこれ以上温度を引き下げたい場合は「Afterburner」で回転数を調整してやる必要があるだろう。また、高負荷を与えた後は、「GAMING APP」の新機能「Cool Down」で熱を飛ばしてやるという手もある。
最後はベンチマークテスト中における「R9 280X Twin Frozr 4S OC」の消費電力を確認しておこう。コア温度やファン回転数ではさしたる差はなかったものの、果たして電力面ではどうか。先ほどと同様、「3DMark」“Extreme”プリセットの10分間ループ実行時における最も高い数値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定し、ワットチェッカーによる計測を行った。
消費電力計測 |
結論としては、ほとんど影響なしの一言に尽きる。Radeon R 200シリーズは従来からワットパフォーマンスの改善が行われたこともあり、最小構成とはいえハイエンドグラフィックスカード駆動で300Wを下回っているのも好印象だ。
ただし今回のクロックアップは50MHzのため、ユーザー自身がさらなるオーバークロックを行った場合は多少差が出てくるかもしれない。もっとも、その場合は「Afterburner」で省電力設定のプリセットを必要な際に呼び出したり、「GAMING APP」でクロックを切り替えるなど、回避する方法もなくはない。
実質的にRadeon HD 7970 GHz Editionの“リネーム版”と見なされているR9 280Xだが、3万円台から買えるハイエンドグラフィックスカードとして、コストパフォーマンスは決して悪くない。むしろHD 7970 GHz Editionが5万円以上と高価だったことを考慮すれば、置き換え対象としてこれまで以上に手を伸ばしやすくなった。ほとんど仕様に変化もないながらにワットパフォーマンスは向上しているなど、使いやすくかつ買いやすいグラフィックスカードに仕上がっている。「バトルフィールド4」というキラータイトルが3GBのビデオメモリを要求していることからも、1つの基準モデルとして存在感を発揮してくれるだろう。
一皮むけてコストパフォーマンスがアップした、新世代のRadeon R9 280Xはなかなかいい選択肢。「R9 280X Twin Frozr 4S OC」はその中でも堂々の鉄板モデルを張れる秀作だ |
そして今回はその中からMSIのカスタムモデル「R9 280X Twin Frozr 4S OC」を取り上げたわけだが、リファレンススペックのモデルに比べてのアドバンテージは大きかった。オーバークロックによるパフォーマンスアップはもちろんのこと、優秀なクーラーによる極まった静音動作はゲーミングシーンとのマッチングも良好。まさにゲーマーに捧ぐ「GAMING Series」の面目躍如といったところで、さらなるチューニングに対応する軍事規格準拠の高耐久仕様も、パフォーマンスの追求という点で抜きん出ている。簡易オーバークロックツールを活用しつつライトに長く使うもよし、耐久性の許す限り性能を引き出してみるもよし。どう料理してもオイシイ「R9 280X Twin Frozr 4S OC」は、R9 280Xグラフィックスカードの秀作だ。