水冷に特化された「Enthoo Primo」のスゴさ

大型PCケース「Enthoo Primo」最大のアピールポイントは、水冷パーツをマウントするために専用で設計された、その内部構造にある。ミドルタワーPCケースの水冷対応は、せいぜいオールインワンタイプの240mmサイズラジエターがマウントできるか否かに留まるワケだが、「Enthoo Primo」は水冷を構築するために必要なポンプ、リザーバー、ラジエター、ウォーターブロック、チューブを自らチョイスするDIYタイプの水冷向けに作られた。ゆえに、水冷には興味が無いという自作派には「何をどう使うのか全く分からない」というパーツが多数装備されている。ここからは水冷構築には重要となる、各パーツ毎に用意された水冷用機構の数々を解説していこう。

移動可能なポンプ専用設置台

水冷では心臓部となるポンプの専用設置台座「PUMP BRACKET」は、マザーボードトレイ背面ボトム部に搭載されている。台座本体はハンドスクリュー2個で固定されており、ボトム部で2箇所、さらにHDDケージ（2.5/3.5インチ共用シャドウベイ）を外した台座部分にもマウント可能。チューブレイアウトによって、3箇所の設置場所から選択できる。なおポンプ自体が駆動部品になるため、台座部分にはクッションラバーが装着されている。

ボトム部のマウントスペースは2箇所。標準で固定されているボトム部と、電源ユニットと物理的干渉を避けるため、フロント寄りに約25mmずらしての設置も可能だ
HDDケージ（2.5/3.5インチ共用シャドウベイ）下段のみを外した台座部分にも設置可能。この場合、高さは約120mm強確保できている
	「PUMP BRACKET」上部にはチューブ用の穴を用意。マザーボードトレイの表裏を繋ぐ、貴重なスルーホールだ

2箇所の内部リザーバーマウントスペース

水冷を構成するパーツはどれも重要な役割を果たし、選択肢も豊富に用意されている。容量（サイズ）や形状により種類も多彩なリザーバーもそのひとつだ。5.25インチ形状でポンプ一体型等も存在するものの、多くの水冷派がチョイスするのは、円柱形のリザーバーではないだろうか。「Enthoo Primo」では比較的搭載スペースを必要とするリザーバーの専用マウントスペースが2箇所用意されている。

1箇所目は、マザーボードトレイ右サイド部分。ここには「RESERVOIR BRACKET」が搭載されており、カバーを外す事で円柱形状のリザーバーがマウントできる。

マザーボードトレイに固定された「RESERVOIR BRACKET」。ここに比較的ロングタイプのリザーバーをマウントする事ができる

「RESERVOIR BRACKET」に設けられたネジピッチ詳細。なおブラケット自体の長さは実測で約380mmもある

リア拡張スロットの右側にあるハニカム状の穴部分は、2箇所目のリザーバーマウントスペース。円柱形状のリザーバーを、ホルダー等で固定し、リア部に直接マウントする事ができる。

拡張スロット右横にある、ハニカム状の通気孔部分にもリザーバーが取り付けられる。なお搭載箇所の詳細サイズやネジピッチは製品サイトで公開されていた