エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.285
2013.12.08 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
スイッチを見ると、とにかく押してみたくなる性格の筆者にとって、「Tou」のタッチパネルはかなり魅力的な存在だ。スマートフォンやタブレットの普及により、どうという事は無い身近な存在ではあるものの、PCケースのスイッチ類がタッチパネル式となれば、ちょっと触ってみたいと思う自作派は多いのではないだろうか。もし自作ブームの真っ只中だったら、5.25インチ内蔵型の汎用「タッチパネルユニット」が発売されても不思議ではないだろう。いや、今後出るかもしれない。
魅惑のタッチパネル部。それぞれの役割を表すアイコンもきちんとデザインされており、ロゴも決して嫌味ではない。ちなみに電源スイッチについては、USB3.0ポート左側にボタン式のスイッチも装備され、どちらからでもPC電源のON/OFFを行う事ができる |
操作してみる前に、もう一度確認しておこう。右から電源スイッチ、次に風車のようなアイコンはファンコントローラー、そしてプラスとマイナスは、内蔵ライトの光量を3段階で調節できるアップダウンスイッチだ。
In Win「Tou」は、砂型鋳造の強靱なフレームに、強化ガラスを貼り付けた外観上の特徴のみならず、内蔵ライトのON/OFFによる「ミラー&スケルトン」という最大のギミックを備えている。消灯時はミラー状態、発光時は内部が透けて見える不思議な現象は、強化ガラスのコーティングによるもの。売価約10万円の説得力としては、十分な仕掛けといえるだろう。
なお内蔵ライトはフレームの前後、左側面に2箇所貼り付けられており、最大輝度時はかなりの光量だ。
近頃のIn Winが積極的に展開するデザインPCケースには、「従来型自作」の概念を越えた斬新なアイデアと、自由な遊び心が詰め込まれている。そのコンセプトに多くの自作派は魅了され、共に楽しむという構図こそ、In Winがやろうとしている目的のひとつなのだろう。
セールス的に成功しているか否かについては興味がないが、製作者側の思い入れ、原価・製造コスト、物流コスト、製品価値、そして市場との折り合いをつけて「売価」を決める作業は、ときに図面を引くよりも難しい。「Tou」はその最たるモデルではなかったろうか。
今回のレビューで撮影および執筆を同時に行いながら、常に頭から離れなかった事がある。それは「自分ならいくらまで出せるか」だ。本稿もそろそろ「締め」なければいけないワケだが、未だその答えがぼんやりとも出てこない。おそらく所有者のみが味わえる優越感を想像できない人には、「Tou」の価値は決められないという事だろう。こんなPCケースをじっくり楽しむ余裕が欲しい。