エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.289
2013.12.25 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
XFX「R9 290X Double Dissipation Edition」(型番:R9-290X-EDFD) 製品情報(XFX -PINE Technology-) 2014年1月発売予定 |
まず本題に入る前に、AMD Radeon Rシリーズの大トリとして登場してきたフラッグシップGPU「Radeon R9 290X」について簡単におさらいしておこう。開発コードネーム「Hawai」の名で呼ばれてきたGPUで、「Graphics Core Next」をベースに電力効率などを改善した28nmプロセスの改良版アーキテクチャが採用されている。Stream Processor数は前世代のRadeon HD 7970 GHz Editionから大幅に増強され2,816基に、メモリバス幅は384bitから512bitへと拡張され、総ROPユニット数は倍増の64基を搭載する。ダイサイズも大型化され、トランジスタ数はAMD史上最高の約62億個を数えるというビッグチップだ。
動作クロックは最大1,000MHzで、負荷状況に応じてクロックを変動させる「AMD PowerTune Technology with Boost」をサポート。また、2種類のBIOSをスイッチすることで、静音向けQuiet Modeとハイパフォーマンス志向のUber Modeを使い分けられるというユニークなギミックも備えている。
Radeon R9 290X搭載のリファレンスカード。前世代から大幅進化を遂げたフラッグシップモデルだが、高負荷時90℃オーバーの“爆熱”仕様もユーザーを驚かせた |
ただしややネックになってくるのが、高負荷時に90℃を超える“爆熱”仕様のGPU温度。リファレンスモデル発表時には「95℃動作でも問題のない設計になっている」とAMDが“火消し”に回るなど、そのインパクトは絶大だった。さすがにメーカー各社も手を焼いたのか、オリジナルクーラー搭載モデルの登場が約2ヶ月もずれ込んだことも無縁ではないだろう。
そうした“難物”が相手となれば、クーラー設計者にとっては腕の見せどころ。各社ともグラフィックスカード冷却の技術を結集させ、ここにきて自慢のモデルを続々リリースさせている。今回取り上げるXFXの「R9 290X Double Dissipation Edition」(以下:「R9 290X DDE」)もその1つで、独特の風貌をもつ冷却機構「Double Dissipation Technology」をマウント、R9 290Xの暴力的な発熱を鎮める期待を背負って登場した。
ハイエンドモデルにしては小ぶりなパッケージで、外形寸法は約W160×D100×H340mmほど。外装には“Double Dissipation”などの記載があるものの、もう少しアピールポイントをプッシュしてもいいような気がする |
動作クロック1,050MHz(リファレンス:1,000MHz)へとチューンされたオーバークロック仕様。メモリクロックは5,000MHz、GDDR5 4GBのビデオメモリを実装する。独自の品質基準「XFactor 2.0」に準拠する堅牢さも魅力で、高効率低発熱なフェライトコアチョークや固体コンデンサなど、高品位コンポーネントで構成するオリジナル基板を採用。信頼性だけでなくオーバークロック耐性にも優れている。