エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.289
2013.12.25 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
パフォーマンスの違いもさることながら、ユーザーが「R9 290X DDE」に求める最大のアドバンテージは、やはりその冷却能力だろう。果たしてR9 290Xの高すぎる発熱はどこまで抑えることができたのか。本項では、「Double Dissipation」クーラーのポテンシャルをベンチマーク中の挙動から読み取ってみよう。なお、アイドル時は10分間何もせず放置した際の最低数値とし、ベンチマーク中の数値と合わせ「GPU-Z 0.7.5」によるGPU温度とファン回転数の計測を行った。
GPU温度計測 | |
ファン回転数計測 |
リファレンスモデルのネックが高負荷時に90℃にも達する“爆熱”仕様であることは冒頭述べた通り。そしてフタを開けてみれば、「Double Dissipation」クーラーの冷却パフォーマンスはお見事の一言に尽きる。最大をマークした「バイオハザード6ベンチマーク」においても68℃で、概ねアイドル時の倍程度となる60℃台半ばに収まっている。それでいてファン回転数は最大で60%ほどの稼働率にとどまり、騒音が気になるシーンはほとんどなかった。ある意味で普通のグラフィックスカードのような、“熱さ”を意識させないテスト結果は、すべて出来のいいクーラーのおかげといえる。
最後はテスト中における「R9 290X DDE」の消費電力をチェックしておく。爆熱とくれば大食らいというのがグラフィックスカードのセオリーだが、公式にはR9 290Xの消費電力は非公開となっている。果たしてどの程度の電力を必要とするのか、定格クロック時の挙動を合わせて確認してみよう。
なお、計測に当たっては「3DMark」の“Extreme”プリセット実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定。ワットチェッカーを使用した計測を行った。
消費電力計測 |
オーバークロックによる差は10Wと軽微ながら、高負荷時の消費電力はやや高めな印象。ただしハイエンドグラフィックスカードとして一絡げにしてしまえる範囲ではあり、しっかりした電源ユニットをチョイスしている以上はそれほど気にならないかもしれない。
いかに“メーカー公認”とはいえ、90℃オーバーの熱源をシステム内に抱えるのは正直厳しい。登場時からオリジナルクーラー搭載モデルが本命視され、待望されてきたワケだが、「R9 290X DDE」はまさにその期待に応える優れた武器を持っていた。“爆熱”と名高いR9 290Xを60℃台に抑えこむ「Double Dissipation」クーラーの性能は、これまで購入をためらっていたAMDファンの背中を押すには十分。実用に足るハイエンドグラフィックスカードとして、きわめて完成度の高いモデルに仕上がっている。
“爆熱”が災いして手を伸ばしにくかった、R9 290Xのジレンマも高性能クーラーが見事に解消。ハイパフォーマンスなAMD GPU最高峰は、「Double Dissipation」のような存在を求めていた |
また、元来高温で動作することが前提だったR9 290Xにしてみれば、かなりのマージンが生まれたということ。リファレンスモデルではオーバークロックなど望むべくもない状況だったが、優秀なクーラーを手に入れた「R9 290X DDE」ではさらに高いパフォーマンスを狙うことも不可能ではないだろう。XFXも昨今の日本の自作市場においてはやや陰が薄い存在だったところ、思いもかけぬ秀作モデルを持ち込んできたものだ。