エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.293
2014.01.04 更新
文:GDM編集部 池西 樹
検証を始める前に、OCZ Technologyについて触れておかなければならないだろう。既報の通り、OCZは11月25日、同社の銀行口座が債権者であるHercules Technology Growth Capitalから凍結されたことを発表。連邦破産法申請後の12月2日、兼ねてより交渉を進めていた株式会社 東芝(本社:東京都港区)とSSD事業に関する資産譲渡契約を締結が発表された。SSDを自作市場に普及させたOCZブランドの功績は説明するまでもなく、今回の一件はショッキングな出来事として記憶に新しい。そこで検証を進めるにあたり、気になる現在と今後について、日本市場の窓口であるOCZ台湾ブランチに直接状況を聞いている。
担当者によると、東芝との資産譲渡契約締結後もOCZブランドはそのまま残り、現在も通常と変わらず工場も稼働しているという。さらに新製品も引き続きリリースされ、購入製品の製品保証も変わらないとのこと。市場が落ち着くまでしばらく時間が掛かるかもしれないが、今回の出来事はあくまで企業間同士の問題であり、どうやらエンドユーザーには影響はなさそうだ。
2014年1月7日からラスベガスで開催される「International CES」にも出展を告知。OCZブランドはこれからも継続される |
OCZ「Vector 150」シリーズ 240GBモデル「VTR150-25SAT3-240G」 製品情報(OCZ Technology) |
今回検証を進める「Vector 150」シリーズ最大のトピックは、同社初となる19nmプロセスNANDフラッシュの採用だ。先代「Vector」シリーズでは、安定したパフォーマンスと耐久性を考慮して、敢えて製造プロセスの大きい25nm IMFT製NANDフラッシュが実装されていたが、「Vector 150」シリーズでは製造プロセス19nmの東芝製NANDフラッシュへと変更されている。
OCZ初となる19nmプロセスの東芝製MLC NANDフラッシュを採用 | コントローラは「Vector」シリーズと同じ「Barefoot3 M00」を搭載 |
当然、プロセス微細化によるパフォーマンスや耐久性への影響は気になるところだが、担当者によれば“コントローラに内蔵された独自NANDマネジメント機能とオーバープロビジョニング領域を活用することで解決した”とのこと。実際、公称スペックを確認するとパフォーマンスはほぼ同等。耐久性は「Vector」シリーズの2.5倍にあたる50GB/dayという高いHost Write(ホスト書込量)を実現している。
「Vector 150」シリーズの特徴をまとめたスライド。エンタープライズ向け機能として、256bitAES暗号化機能も新たに追加されている |
ちなみにコントローラには変更なく「Barefoot3 M00」を搭載。容量ラインナップは120GB、240GB、480GBの3モデル展開。公称転送速度はモデルにより異なるが、今回検証する240Bモデル「VTR150-25SAT3-240G」では、シーケンシャル読込550MB/sec、書込530MB/sec、ランダム読込90,000 IOPS、書込95,000 IOPSとされる。なお各モデルの詳細スペックは以下の通り。
「CrystalDiskInfo 6.0.1」で対応機能を確認。転送モードはSATA3.0(6Gbps)で、NCQやTRIMにも対応する |