エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.298
2014.01.23 更新
文:GDM編集部 池西 樹
「C2750D4I」には、SoC内蔵コントローラの他、Marvell「SE9172」「SE9230」の3種類のSATA3.0(6Gbps)コントローラが実装されている。そこで、各コントローラのパフォーマンスについて、簡単に確認しておこう。ベンチマークソフトには「CrystalDiskMark 3.0.3」を使い、データサイズは1000MB、テストデータは「All 0×00 (0Fill)」にて測定を行った。
SoC内蔵コントローラ | Marvell「SE9172」 |
Marvell「SE9230」 |
SoC内蔵コントローラは読込・書込とも450MB/sec前後で十分な性能を発揮。一方、Marvellコントローラは、レーンスイッチチップを経由する「SE9172」はもちろん、PCI-Express2.0(x1)経由の「SE9230」でも400MB/secには届かず、最新SSDのパフォーマンスを引き出すのは難しい。この結果を見る限り、データストレージ向けのHDD接続用と割りきって使用するのが良さそうだ。
次に、気になるAtom C2750(以下C2750)のパフォーマンスを「CINEBENCH R15」と「Sandra 2014:メモリ帯域」を使い、確認していくことにしよう。比較対象には、定格クロックが同じCeleron G530(2コア/定格2.40GHz/L3キャッシュ2MB)を用意。マザーボードにはASRock「B75M」を使い、メモリはいずれもDDR3-1600MHz(4GB×2)に統一した状態でテストを実施している。
CINEBENCH R15(cb) |
シングルコアのスコアを確認するとC2750は、Celeron G530の約1/2。クロックに換算すると1,200MHz前後で、コンシューマ向けCPUならCeleron 867に近いパフォーマンスと考えればいいだろう。またマルチコアでは物理8コアが効果的に働き、シングルコア比7.5倍、Celeron G530比でも2倍以上の優秀なスコアを計測する。
Sandra 2014:メモリ帯域(GB/s) |
コンシューマ向けAtomでは、シングルチャネル対応のためメモリ帯域が狭くボトルネックになっていた。しかし、C2750ではデュアルチャネル対応になり、パフォーマンスが大幅に向上、Celeron G530と変わらないレベルまで引き上げられている。さらに「C2750D4I」ではDIMMスロットを4本備え、最大64GBまで実装できることから、メモリ周りでパフォーマンス不足を感じることはないだろう。
最後に消費電力の違いについて確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「CINEBENCH R15」動作中で最も高い値とした。
消費電力(W) |
省電力性能については、予想通りTDP20WのC2750がTDP65WのCeleron G530を圧倒する。特に、高負荷時は27Wもの差が出ており、常時起動PCとして使う場合には特に影響が大きい。マルチスレッド処理に強いことから、大量の動画を常時エンコードするエンコードサーバーやレンダリングサーバーには最適な1枚になるだろう。
ECC/RegisteredメモリやEPS電源ユニット、大型フォームファクタなど、とかく難しい印象が強いサーバー向け製品の中で、「C2750D4I」の簡潔さは際立っている。フォームファクタは標準的なMini-ITXを採用し、現行ほぼ全てのケースに搭載可能。さらにメモリや電源ユニットもコンシューマ向け製品がそのまま流用でき、一度でもPCを組んだことがある人なら躓くことはないだろう。近頃では、Mini-ITXケースの選択肢も増えており、コンパクト・高拡張なファイルサーバやマルチメディアサーバーを構築したいなら、まさにうってつけの製品といえる。
サーバー入門機だけでなく、クライアントPCとしても利用できる「C2750D4I」 |
また、あくまで自己責任ながら、グラフィックスカードを増設することでクライアントPCとしても動作可能。Atomプロセッサということで、懸念していた性能も大きな足かせにはならず、マルチスレッド対応アプリなら、かなり快適な動作が期待できる。サーバー入門機から一風変わったクライアントPCを組みたいユーザーまで、幅広い層にオススメできる製品だ。