エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.320
2014.04.23 更新
文:GDM編集部 Tawashi
「ARC Mini R2」のエアフローレイアウト。標準搭載されるのは、フロント吸気120mm×1基、トップ排気140mm×1基+排気120mm×1基(水冷ユニット用「UCTB12P」)、リア120mm×1基の合計4基。フロントに吸気120mm×1基を追加することで、さらなるエアフローの向上を図ることができる |
「Core i7-4770」(TDP84W)の冷却を担当するのは、サイコムオリジナル仕様のオールインワン水冷クーラー「550LC」(+UCTB12P)だ。ここでは気になる冷却性能を知るべく、ストレスツール「OCCT 4.4.0」を使い、60分間のテストを実施。ハードウェアモニター「HWmonitor Version 1.2.3.0」でCPU温度およびラジエター搭載120mmファンの回転数をモニタした。
【CPU温度】 検証室内温度24.6℃/湿度46% | |
ラジエターファン回転数(rpm) |
CPU温度をみると、アイドル時(起動後30分間放置)で32℃、100%負荷実行中でも64℃と極めて優秀。水冷クーラーならではの冷却能力を遺憾なく発揮してくれた。これなら、夏場や負荷の高いアプリケーション動作時でも安心して使う事ができるだろう。
一方のラジエターに搭載されるファン回転数もチェックしておこう。実装されているのはENERMAX「UCTB12P」(500~1500rpm±10%、26.51~71.25CFM、8~18dBA)だが、テストでは概ねスペック通りの動作が確認できた。高負荷状態時1,376rpmも非常に静かで、ほとんど耳で聞こえないレベル。軸受け構造に採用されている「ツイスターベアリング」の効果もあるようだ。
テストセッションの最後はベンチマーク実行中の消費電力を確認していこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、「CINEBEHCN R15」と「3DMark」、「OCCT 4.4.0」はそれぞれのベンチマーク実行中で最も高い値を記載した。
消費電力(W) |
アイドル時は48Wと非常にエコロジー。CPUがフルに動作する「CINEBEHCN R15」では115W、さらにグラフィックスカードへの負荷が上がる「3DMark」では240Wとそれなりに上昇しているが、いずれも気になるレベルではない。「G-Master Z87 M-Star Mini」では電源ユニットに「SST-ST75F-P」(80PLUS SILVER/750W)が採用されているが、購入後のストレージ系デバイス追加はもちろん、マルチグラフィックスカード環境へのアップグレードにも十分対応してくれるはずだ。
自他共に認める自作派BTOメーカーのサイコム。手掛けるBTOはパフォーマンスや価格、信頼性はもちろんのこと、見た目へのこだわりにも決して妥協しない。MSIとのコラボにより実現した「G-Master Z87 M-Star Mini」は、そんなサイコムのポリシーを具現化したモデルで、主要構成パーツを同一メーカーにすることで得られる統一感や安心感が、ユーザーの購買欲を静かに刺激する。
本来であればATXと比べて拡張性に制限のあるMicroATXをベースとしながらも、サイズからくるマイナス要素は全くと言っていいほど見当たらない。数年先まで活躍するメインマシンとして、役割を十分に果たしてくれるだろう。数多くの魅力的なBTOを手掛けるサイコムだが、「Powered by MSI」のロゴを冠する「G-Master Z87 M-Star Mini」もまた、期待を裏切らない秀作モデルだ。