サイコム+MSI×アスクのクロストークから見る「G-Master Z87 M-Star Mini」

ここからは「G-Master Z87 M-Star Mini」の開発に携わった主要人物に、直々に誕生にまつわる秘話や裏話を聞いてみたい。ご登場頂くのは、株式会社サイコムから河野 孝史氏（代表取締役）と山田 正太郎氏（プロダクトマネージャー）、MSI台湾本社からVanessa Huang氏（Channel Marketing Specialist Mainboard Marketing Dept.）とKen Huang氏（Senior Sales MB Channel APAC MB Channel Sales Dept.）、エムエスアイコンピュータージャパン株式会社からChen Yichun氏（MB&VGA営業部マーケティング課）、そしてMSI国内正規代理店の株式会社アスクから遠藤 亮氏（コンシューマチャネル営業部）だ。

株式会社サイコム 代表取締役の河野 孝史氏	株式会社サイコム プロダクトマネージャーの山田 正太郎氏

• 編集部：
  「Powered by MSI」誕生の経緯からお聞かせください。
• 山田氏：
  最初にMSIさんとアスクさんから、コラボで何かできないかというお話をもらったのが2012年の秋でした。具体的には当時発売中だったIntel Z77 Express搭載の「Z77 MPower」とMSI製のグラフィックスカードを弊社のBTOに採用するということですね。今だから言えることですが、需要については想像し難く、代表の河野にも相談したこと覚えてます。
• 河野氏：
  サイコムのBTOといえば、メーカーの縛りがなくパーツ選択ができるのがウリだろうと。売れないのではないかという意見も多く、社内ではあまり評価されませんでしたね（笑）。
• 山田氏：
  それでも、長年のお付き合いもあるからと2012年の10月にゲーミングBTO「G-Master Z77-MPower」として販売を開始しました。なかば半信半疑だったのですが、これがビックリ。こちらが想定していた3倍以上の台数を出荷した月もありました。その後、いろいろ購入層を検証してみました。その結果、比較的PCについては初心者の方が多いということが分ったんです。
• 河野氏：
  いろいろ選べるのがウリだった半面、PC初心者の方にとっては「こんなに種類が選べても、どのマザーボードがいいのか、どのグラフィックスカードがいいのか分らない」という人が少なくなかったようです。そういったお客様たちのニーズと合致した印象でした。最初からマザーボードとグラフィックスカードが決まっているというのが、分り易かったのだと思います。
  　さらに、PCでゲームをする方が必ずしもPCパーツの性能等に詳しい人ばかりではありません。ゲーム向けとして発売したモデルでしたが、そういった方々のニーズにも応える格好になりました。

株式会社アスク コンシューマチャネル営業部の遠藤 亮氏	「Powered by MSI」のステッカー。BTOベンダーを中心に認証したコラボモデルに与えられる

• 編集部：
  アスクさんの立場からお話を聞かせてください。
• 遠藤氏：
  当時から「Twin Frozr」ブランドのグラフィックスカードは好調なセールスを記録していたのですが、マザーボードはやや苦戦していました。もともとは、優れたオーバークロック耐性を保証する「OC Certified」を取得したのが特徴の「Z77 MPower」ですが、言いかえれば優れた耐久性を持っていることになる。これはBTOメーカーさんへのアピールポイントになると考えました。そこでMSIさんと協議し、コラボという形でBTO化できないかとサイコムさんへ提案させていただきました。

MSI本社よりChannel Marketing Specialist Mainboard Marketing Dept.を務めるVanessa Huang氏	MSI本社よりSenior Sales MB Channel APAC MB Channel Sales Dept.を務めるKen Huang氏
	エムエスアイコンピュータージャパン株式会社 MB&VGA営業部マーケティング課のChen Yichun氏

• Vanessa氏：
  MSIとしてのきっかけは「インテル入ってる」でお馴染の“Intel Inside”を参考にして、MSIというブランドを高められないかというのが始まりでした。そこでBTOベンダーさんを中心に「Powered by MSI」をプッシュするようになりました。
• 編集部：
  「Powered by MSI」ですが、海外でも展開しているのでしょうか。
• Vanessa氏：
  はい、いろいろな国で展開しています。
• 編集部：
  「G-Master Z87 M-Star Mini」では、マザーボードに「Z87M GAMING」を選択されていますが、なぜこのモデルなのでしょうか。
• 山田氏：
  サイコムのゲーミングPCラインナップにスタンダードなMicroモデルがなかったというのが一番の理由です。デュアル水冷の「G-Master Hydro-Mini」といった、やや尖ったスペックのBTOはあるんですけどね。
• 河野氏：
  最近、お客様のチョイスを見ていると、かつてに比べてフルタワーよりミドルタワー、ATXよりMicroATXという流れを感じます。現在のMicroATXマザーは機能も豊富で、拡張スロットが少なくても気になりませんから。