エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.322
2014.04.29 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
「MASTERPIECE i1440」はケースの設計からもうかがえる通り、安定動作のために冷却性能を何より重視している。動作時の騒音値は42.6dBA(フロントパネル30cm)と決して静音向きではないものの、冷却面におけるこだわりはデュアル水冷仕様の構成自体が物語っている。
本項では、テスト時におけるCPUおよびGPUの温度推移をチェックするとともに、「オーバークロックスイッチ」による影響がどの程度かを見定めてみたい。
CPU温度計測 |
上記は「OCCT 4.4.0」の「Power Supply test」を1時間実行(アイドル時は30分放置状態)した際のものだが、Core i7-4770Kを高負荷時で60℃未満、4,200MHz動作の“OCモード”でも70℃未満に押さえ込んでいる。結果としては極めて良好で、Cooler Masterの水冷クーラー「Seidon 120XL」が実によく働いてくれていることが分かる。
GPU温度計測 | |
GPUファン回転数計測 |
続いては、グラフィックスカードの挙動を同じく「OCCT 4.4.0」の「Power Supply test」1時間動作でチェックしてみる。その様子を「GPU-Z 0.7.8」で確認した結果が上記だが、高負荷環境でのGPUコア温度はなんといずれも50℃台。ファン回転数も合わせて抜き出してみたところ、わずかの回転数上昇でOC前とほぼ同じ水準の温度を維持している。こうした冷却への強いコミットメントは、パワフルなゲームを長時間プレイするヘビーユーザーにとって大きな武器になるだろう。
パフォーマンスの優秀さはすでにテストで明らかになった「MASTERPIECE i1440」だが、とかくゲーミングマシンは“大食らい”という印象がある。そこで最後は、動作中の消費電力をワットチェッカーを使用してチェックしてみることにした。計測環境には、先ほどと同様に「OCCT 4.4.0」の「Power Supply test」を1時間実行。その際最も高かった数値を高負荷時とし、逆に30分何もせず放置した際の数値をアイドル時に設定している。
消費電力計測 |
“OCモード”ではアイドル時もCPUクロックが4,200MHzに貼り付いているはずだが、GPUの省電力動作のおかげか差はほとんどなし。一方で高負荷時ではさすがに30W近くの差がつき、オーバークロックの影響が見て取れる。本来はここでパフォーマンスアップとのトレードオフを云々するところだが、「MASTERPIECE i1440」はスイッチをオフにするだけで元に戻れてしまうことを思い出しておきたい。消費電力増はスイッチオンの時のみに限られるということで、(差もわずかであり)あまり気にする必要はないと思われる。
自分ではなかなか作ることができない、あれやこれやな構成を“組み込みのプロ”が実現してくれる。単なる自作の(あるいは面倒の)肩代わりという以外に、ユーザーがカスタムBTOに求める魅力のひとつがそこにある。最近徐々に数を増やしてきたデュアル水冷構成しかり、要求が厳しくなればなるほど、カスタムオーダーの頼もしさが実感できることだろう。もちろんゲーミングマシンのようなハイエンド構成ともなれば、気軽にポンと出すにはいささか勇気がいる価格帯であるのも事実。それだけに「MASTERPIECE i1440」のようなモデルには、購入したユーザーを確実に満足させなければならないというプレッシャーもあるハズだ。
ゲーミングマシンとしての性能は折り紙つき、ただしそれだけじゃ面白くない。ここぞという時にリミッター解除、パフォーマンスが“覚醒”する「MASTERPIECE i1440」で遊んで見たくはないか? |
そこはさすがのフラッグシップ。ゲーミングマシンとしてのパフォーマンス、特注の専用筐体が漂わせる風格など、「MASTERPIECE i1440」はユーザーの期待に応える要素をいくつも兼ね備えている。そして何より本機を特別な存在たらしめているのが、完全オリジナルの「オーバークロックスイッチ」だ。ワンタッチで「リミッター解除」、パフォーマンスが“覚醒”するという、何やら“中二病”じみたワクワク感がユーザーを楽しませてくれる。
ゲーミングマシンとしての性能だけでなく、普通じゃない面白いマシン。「MASTERPIECE i1440」とは、自作派もつい唸ってしまう“Masterpiece”(傑作)の名に相応しいモデルだった。