エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.323
2014.05.02 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕/池西 樹(テストセッション)
次に騒音値について確認しておこう。検証は回転数テストと同じく「冷却性能チェック」実行時に、デジタル騒音計を約30cmの距離に設置して測定している。なお室内の生活騒音値は31.4dBAだった。
単位(dBA) 騒音値31.4dBA |
回転数に違いがないことからもわかるとおり、定格ではアイドル時と高負荷時で騒音値に変化はなし。また40.1dBAまで騒音値が上昇する4.20GHz駆動でも、「音の聞こえ方」に大きな違いはなく、あくまでも主観ながらうるさいと感じることはなかった。一方、2基の140mmファンがフル回転する4.40GHz駆動では、さすがに風切音がやや耳ざわりな印象。とはいえ、常用が難しいほどの騒音ではなく、PCケースに収納してデスクの下に配置してしまえば、ある程度押さえこむことができるだろう。
テストセッションの最後に、ヒートシンクのポイント別温度を計測。非接触型温度計を使い、Core i7-4770Kを4.20GHzで動作させ、15分経過時の状態をチェックしてみる。
Core i7-4770K 4.20GHz動作時のポイント別温度 |
最も温度が高い箇所は、幅広ヒートシンクの側面下部(画像奥手)の27.9℃、最も低い箇所は同じく幅広ヒートシンクの側面中央の19.4℃だった。ちなみに温度差は8.5℃になる。サイドフロー型CPUクーラーの場合、当然ながら上下で温度差が出やすい。ヒートシンク全体に万遍なく熱を拡散するためには、ヒートパイプの熱移動能力と、貫通するヒートシンクとの密着具合に関わってくる。「NEMESIS」の場合、熱源から最も遠いヒートシンクトップ部まで熱が行き渡っている事から、ヒートパイプは役割を十分に果たし、効果が発揮されている事が分かった。
自作派はもとより、業界関係者からも高い注目を集めているRAIJINTEK。現時点最上位モデルとなる「NEMESIS」は、見た目通りの高い冷却性能を秘めていた。これだけ大きなツインタワー型ヒートシンクと、大口径デュアルファンで構成されているだけあって、高冷却は当然と言えば当然。新興メーカーの最上位モデル第1弾というプレッシャーをはねのけ、完成度の高いCPUクーラーに仕上げられている。空冷オーバークロッカーの要求を満たす秀作と言っていい。
また工作精度も高く、見た目にも美しい。冒頭でも触れたように、今後はCPUクーラーに留まらず、PCケースや電源ユニット等のカテゴリにも進出が予告されている。「NEMESIS」の高いクオリティを思えば、はたしてどんな製品を投入してくるのか期待は高まるばかり。「COMPUTEX」以降のRAIJINTEKは要マークだ。