エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.324
2014.05.05 更新
文:GDM編集部 池西 樹
一般的に机の下に設置するデスクトップPCと違い、机の上や液晶ディスプレイ裏面にも設置できるコンパクトPC。ファンノイズが直接に耳に入るため、冷却システムのポテンシャル、特に静音性は重要なファクターとなる。そこで「OCCT 4.4.0:PowerSupply」による30分間の負荷テストを実施し、CPUクーラーのポテンシャルを確認してみることにした。
プロセッサ温度(℃)/室温24.1℃ |
まず温度を確認すると、アイドル時は静音志向のためか58℃とやや高め。また高負荷時は最高84℃まで温度が上昇しているが、A8-5545Mの耐久温度が105℃であることを考慮すれば、特に問題のないレベルに収まっている。
ファン回転数 | |
騒音値(dBA)/室内ノイズ31.1dBA |
続いてファンの回転数を確認すると、アイドル時は2,280rpm、高負荷時は3,729rpmまで上昇し、温度に合わせてしっかりと回転数が制御されていることがわかる。また口径約45mmの小型ファンを採用するため、回転数が高い割に騒音値はアイドル時33.4dBA、高負荷時でも41.5dBAの静音志向。実際、机の上に設置して、数日間検証を進めていたが騒音が気になることはなく、あくまで主観ながら静音性は極めて優秀だ。
最後に消費電力について確認しておこう。測定は“CPUクーラーテスト”と同じ、「OCCT 4.4.0:PowerSupply」実行時の最高値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最小値をアイドル時に設定し、ワットチェッカーを使い計測を行った。
消費電力(W) |
アイドル時は概ね15W前後で推移、CPU/GPUがフルに動作する高負荷時でも32Wまでしか上がらず、省電力性も良好。付属のACアダプタは65Wモデルのため、ストレージにHDDを搭載した場合でも、電源容量にはかなり余力が残されている計算だ。「ZBOX nano AQ02」では、拡張ポートにも余裕があり、GPUには動画デコード機能も内蔵されるため、USBタイプのHDDとTVチューナーを増設して、TVサーバーやストリーミングサーバーとして活用するのも面白い。
Intel NUCの登場により、自作市場において市民権を獲得したコンパクトベアボーンキット。しかし、最近では他社との差別化を図るため、パフォーマンス偏重のきらいがあり、“省電力”や“静音”といった本来の良さがスポイルされ、やや使いづらく感じる自作派も少なくないだろう。そんな状況に待ったをかけるべく、「ZBOX nano AQ02」ではCPU/GPU性能のバランスが良く、消費電力も少ないノート向けAPU A8-5545Mをチョイス。これにより、オフィスユースからライトゲームまでプレイできるパフォーマンスを実現しつつ、机上においてもストレスにならない静音動作と省電力性を実現した。
さらに「ZBOX」シリーズおなじみの組込の手軽さや、高い拡張性もこれまで通り継承。使い手が用途を限定されることなく、フリーなスタイルで運用できる完成度の高いベアボーンキットに仕上がっている。これからコンパクトPCの購入を検討しているなら、ぜひ選択肢に加えたい製品だ。