エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.330
2014.05.28 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「左チャンバー」ボトム部にある電源ユニット搭載スペース。公称奥行き260mmまでをサポートするだけに、プラグイン/非プラグインを含め、電源ユニット選びは神経質になる必要がない。今回テストには奥行き140mmのFractal Design「Integra R2 500W」(型番:FD-PSU-IN2B-500W)を用意したが、言うに及ばず余裕をもってマウントする事ができた。
奥行き140mmのショートサイズ電源ユニット「Integra R2 500W」をマウント。まったくもって問題ない | |
ボトム部に装備された2本のマジックテープにより、余ったケーブルを結束。ボトム面に固定されるために束ねたケーブルが浮き上がらず、コレが意外にも便利 |
PCケースの中を縦横無尽に行き交うケーブル類。これをキレイに束ねて整頓し、最短距離でデバイス同士をケーブルで結ぼうというのがケーブルマネジメントだ。PCケースの売り文句として必須キーワードになっているが、なにもミドルタワーPCケースに限らず、Cube型の「Node 804」にもケーブルマネジメントを意識した設計が見て取れる。
そもそも電源ユニット搭載スペース横のマジックテープの存在は、非プラグインタイプの電源ユニットにとって、かなり重宝するはず。またマザーボードトレイに目を移すと、マジックテープの真横と縦方向の2箇所に、左右両チャンバー間でケーブルの行き来ができる、スルーホールが用意されている。これらを上手に活用する事で、小型筐体らしからぬ、スマートなケーブルレイアウトが構築できるだろう。
赤く囲んだ2箇所に、左右チャンバー間をつなぐスルーホールが用意されている。特に縦方向の穴は開口部も十分で、少々雑に結束してもケーブルを通す事はできる | |
マザーボード左上部にあるATX12Vケーブルは、隣接する穴が利用できる。ただし穴自体はスルーホール用ではなさそうで、コネクタが分割(4+4pinなど)されていない場合は、穴が通らない可能性がある |
「Node 804」にもCPUクーラーメンテナンスホール(カットアウト)はある。吊り下げ式マウンタが一部に被さる位置にレイアウトされてはいるものの、遮るものを取り外してしまえば、十分スペースを確保してメンテナンス可能だ。カットサイズは実測で横約150mm、高さ約155mm。検証で搭載させたオールインワン水冷ユニットのバックプレートは、周囲のスペースに余裕ができるほどだった。
Cube型MicroATXケースと侮れず、十分にその役割を果たすCPUクーラーメンテナンスホール |
やはり「Node 804」の魅力は、左右に「室」を分割させた「デュアルチャンバーケースレイアウト」に尽きる。思えばマザーボード&グラフィックスカードと、電源ユニット&ストレージを上下でセパレートに見立てたミドルタワーPCケースは存在したが、Cube型の左右分割となると珍しい。熱源を分散させるだけでなく、構成パーツ各々がゆったりとスペースを分け合うレイアウトには、組み込みやすいというメリットもある。
唯一改善の余地を探すならば、「内部の高さ」が挙げられる。十分のようにも見えるが、天板に240mmサイズラジエターと25mm厚冷却ファンをマウントさせると、メモリスロットに侵食してしまい、ヒートスプレッダ付メモリは装着できなくなってしまう。しかし「Node 804」は、ラジエターをフロントパネル裏に設置する事が可能。このレイアウトを選択すれば、メモリスロットの干渉は一気に解消される。つまり「内部の高さ」を「要改善」とつるし上げるのは、ほとんど言いがかり。そのくらい設計の妙が利いている。
大胆な設計が功を奏し、スタンダードにもなり得る可能性を秘めた2層構造Cube型PCケース。手頃な価格設定も手伝って、息の長いPCケースになる可能性がある。