エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.335
2014.06.24 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「RAVEN」シリーズの設計思想のひとつに、「正圧設計」がある。これまでの検証記事でも幾度となく取り上げてきたキーワードだが、ここでは簡単に説明しておく事にしよう。
「負圧」に対する「正圧」は、筐体外に対してプラスの圧力をかけた状態のこと。「RAVEN 5」では、防塵フィルタを備えたボトム部に搭載される180mm口径の「Air Penetrator」で外気を一気に取り込む事で内圧を上げ、上面から排出する作業を繰り返す。これにより、無用なホコリの侵入を防ぎ、PCケース内部は下から上へ直線的なエアフローを構築する事ができる。なおこの状態はクリーンルーム等でも採用されているもので、自作業界において、「正圧」のメリットを前面に押し出して積極的に採用したのは、SilverStoneが初めてではないだろうか。今日これまでこだわりつづける、「RAVEN」シリーズの代名詞となっている。
クリーンルーム同様、「正圧設計」を生み出すエアフローレイアウト |
「RAVEN 5」に「正圧」状態を作り上げてるのが、ボトム部に標準搭載される180mm口径ファンだ。底部分から吸気し、上面から排気させるエアフローは、SilverStone「Air Penetrator」が作り出す。今でこそ類似品の存在も知られているが、先駆者たる「Air Penetrator」は、風が渦を巻くように設計された一体型ファンガードと相まって、従来の冷却ファンに比べ高い指向性と直進性を実現。「正圧」状態の理想的な環境が構築できるというワケだ。
フロントトップ部には唯一、増設ファンスペースが用意されている。この拡張スロットの横にあるスペースには、120mm口径ファンが1基増設可能。排気能力を向上させたり、120mmサイズラジエターをマウントさせる事もできる。
フロントトップ部に用意されたハニカム形状の通気孔は、120mm口径ファン増設スペース。冷却ファンだけでなく、120mmサイズラジエターも搭載できる |
V字型にデザインされたフロントパネルの真裏を確認すると、左右に2つのスイッチが用意されている。これはボトム面に標準装備される「Air Penetrator」ファン用のファンコントローラーだ。左に「H」、右に「L」の刻印があり、中央部を含め3つのポジションで回転数を600/900/1,200rpm(17/25/34dBA)の3段階に切替えることができる。
フロントパネル裏側に隠された2chファンコントローラー。通常トップおよびサイドパネルで塞がれてしまうため、事前に設定しておく必要がある |