エルミタ取材班が行く
2014.08.04 更新
文:GDM編集部 Tawashi
「ライン方式」の様子。自分の担当作業が終わり次第、右側の担当者へPCが流れていく |
ここからは見学ツアーの目玉、製造エリアに入っていく。サードウェーブでは、PCの製造に「ライン方式」と「セル方式」の2種類を導入している。「ライン方式」は、その名の通り流れに沿って複数のスタッフで1台を組み上げていく方法。ラインに沿って配置された各スタッフは、ある程度決まったパーツの組み込みを繰り返し作業していく。こちらは、基本仕様にあまり変更がないPCの製造に向いている。およそ10分~15分で1台が完成するという。
スタッフは自分の作業を開始する前に、事前の作業も確認するようにしているという | ライン製造とはいえ、完成したPCをみるとCPUは水冷仕様だった |
「セル方式」は、担当スタッフが1人で1台のPCを組み上げていく方法。いわばスタッフ自らが“自作をしている”わけだ。こちらはカスタムされたPCなど、スペックが複雑なPCを製造する際に使う。セル方式を担当するのはベテランスタッフが中心。説明してくれた製造エリアの責任者によると「製品の品質を上げるというよりは、人の品質を上げることで製品の品質向上に努力している。空いた時間には、勉強会を実施するなど日々、技術力の向上を目指している」とのこと。
スタッフ自ら“自作をしている”「セル方式」の様子 |
ノルマなどは設定されていないが、目標台数は個人で決まっているそうだ。ちなみに、生産能力は1人1日平均で30台ほど。ベテランになると1日40台~50台ということも珍しくないという。なお「スピード競争ではなく、あくまで品質優先ながら、現在の最高記録は1人1日60台」という。
担当者の前には液晶ディスプレイが設置されており、マザーボードの画像や組み込み手順が細かく表示されている。さらに製作時間もカウントされていた |
また、製造エリア全体の内訳はセルが40%、ラインが60%。製造エリアスタッフの勤務時間は9:00~18:00で、1月1日の元旦以外はフル稼働。注文の傾向としては、3月や12月などが多いほか、1週間のうちでは休み明けの月曜日が最も忙しいという。
完全受注生産のため、スタッフのシフト調整も大変。過去のデータを参照しながら予測を立てるというが、日によって30%ほどの受注誤差が出る場合もあるという | |
大量のネジ類やSATAケーブル。ここでもAMD FXシリーズの缶パッケージが活躍中 |
ノートPCの製造は「セル方式」で行われる。スタッフのほとんどが女性で構成されているのだが、これには理由があった。担当者によると、デスクトップPCより細かい作業が要求されるノートPCの組み込み作業は、女性のほうが向いているという。個人差はあるものの、傾向として男性スタッフよりも明らかにミスが少ないのが女性スタッフだとか。
「セル方式」で行われるノートPCの製造グループは、ほとんどが女性スタッフで構成されていた。工具も種類別にきれいに管理されている |