エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.349
2014.08.19 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
ここまでPhanteks「Enthoo Luxe」の外装周りから内部設計まで、じっくり時間をかけてすみずみをチェックしてきた。一般的なPCケースとは違い、随所にPhanteksらしい仕掛けが用意され、”芸の細かさ”が際立つフルタワーPCケースという印象を持った。
さてここからは実際に構成パーツを用意し、「Enthoo Luxe」に組み込みを行いつつ、マウント方法や周辺クリアランスなどを細かく解説していこう。
ATX規格(305×244mm)のマザーボードをマウントさせ、周辺クリアランスを計測してみよう。特に気になるのは、ラジエターとの物理的干渉が懸念される基板上部だ。おさらいしておくと、天井部には120mm口径ファンが使用できる120mm/240mm/360mm、さらに140mm口径ファンが使用できる140mm/280mm/420mmと、合計6サイズのラジエターがマウントできる。
もっとも利用頻度が高い箇所だけに設計にはゆとりがあり、実測60mm以上もの空きスペースが確保されていた。
マザーボード上部のクリアランスを計測。なおマニュアルをよく見ると、空きスペースは公称値65mmと記載されていた | マザーボード右側面とHDDケージ部までの距離は実測約115mm。E-ATXまでの対応だけに、ATX規格マザーボードならかなりの余裕が確保できる |
次に電源ユニットの搭載スペースをチェックしてみよう。搭載テストに使用したのは奥行き160mmのモジュラータイプ。大型PCケースだけに、当然ながら空きスペースは十分だった。ちなみにシャーシリア部からHDDケージまでの距離は実測360mm程度。同一ライン上(底面)に冷却ファンを増設しなければ、余ったケーブルの置き場として活用できる。
奥行き160mmの電源ユニットが小振りに見えるほど搭載スペースは広い | 「PSUカバー」を装着すると、電源ユニットは完全にブラインドになる。シールド効果等を謳うものではないが、余ったケーブルを少々雑に放置しても隠す事ができる |
拡張カード有効スペースは公称347mm。これだけでも十分だが、延長線上にあるHDDケージ上段を取り外せば、有効スペースは472mmまで拡大できる。ストレージ収納力とトレードオフながら、よほどの事がない限り、どんなグラフィックスカードをチョイスしても搭載できるはずだ。
搭載テストに用意したグラフィックスカードの奥行きは270mm。HDDケージを装着したままでもまったく問題ない | |
上段HDDケージを取り外すことで、拡張カードの有効スペースは347mmから472mmへ一気に拡大する。2.5/3.5インチシャドウベイ3段分が犠牲になるものの、よほどの事がない限りデフォルト状態でも事足りるはずだ |
CPUクーラー有効スペースは公称193mm。サイドフロー型CPUクーラーといえば、高さ160mmを超す辺りから大型クラスというイメージ。「Enthoo Luxe」はさすがにフルタワーPCケースだけあって、200mmに迫る有効スペースは同クラス最大級といえるだろう。このように「Enthoo Luxe」は水冷に特化されているだけではなく、大型空冷にも対応できるように設計されているワケだ。
搭載テストにはPhanteks「PH-TC14CS」をチョイス。高さ140.5mmと「Enthoo Luxe」には迫力不足だが、広大な搭載スペースは実感できる |
上下段に分割されたHDDケージには、最大で2.5インチSSDまたは3.5インチHDDが最大6台まで搭載できる。マウントには一般的なPCケース同様、フレキシブルなABS樹脂製専用トレイが使用されているが、ドライブの搭載方法がやや異なる。
3.5インチHDDを搭載する場合、通常素材の特性を生かし、トレイを曲げ、予め固定されているピンをHDD側面のネジ穴に差し込む事でマウントが完了する。しかし「Enthoo Lux」では、ピンが固定されている両側面レバーが「ハの字」に開き、トレイを曲げずに3.5インチHDDが固定できるようになっている。
フレキシブルな専用トレイの側面レバーは、ワンタッチで「ハの字」に開閉。3.5インチHDDの側面ネジ穴に合わせ、元に戻せばマウントが完了する | |
3.5インチHDDはツールフリー機構を利用。2.5インチSSDは底面にある4つの穴によるネジ留め式 |