エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.353
2014.09.03 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
CPUクーラーの有効スペースは、公称高さ120mmだった。この制約から、比較的背の低いCPUクーラーを選ぶ必要があるワケだが、ここは水冷ユニットの導入をお勧めしたい。
そもそもCORSAIRは、オールインワン水冷ユニットを普及させた”第一人者”。Hydroシリーズ「H50」の爆発的ヒットから今に至るまで、改良を重ねた製品がラインナップされている。ここでは240mmサイズラジエターを備えた、「H100i」をチョイスした。
ポンプ一体型のウォーターブロックは、65×65×高さ32mm。「Air 240」の制約を気にする事なくマウントする事ができる |
高さ32mmのウォーターブロックは問題なく搭載する事ができた。口径の太いゴム製チューブに掛かるストレスも一切ない。このように収まりもよく、高さ制約のある「Air 240」にとってオールインワン水冷ユニットは、最良の選択肢と言えるだろう。一方、240mmサイズラジエターは、フロントパネル側の縦方向に固定している。
フロント標準搭載の120mm口径ファン2基を取り外し、240mmサイズラジエターを装着。なお冷却ファンにはCORSAIRの人気汎用ファン「SP120 QUIET EDITION」(120×120×25mm/1,450rpm/37.85CFM/23dBA)に換装している |
「Air 240」は240mmサイズラジエターをフロントパネル側と、ボトム面の2箇所にマウントできる。なおトップ部にも120mm口径ファン2基が搭載できるため、このスペースも利用できるように思えるが、先ほど空きスペースを確認したように、マザーボード基板とトップ面までの距離が実測約30mm程度しかないため、ラジエターのマウントはできない。さらにボトム面については、”Mini-ITXマザーボードを搭載した場合のみ”ラジエターの搭載が可能。つまり、MicroATXではフロントパネル側の1箇所のみマウントできるという解釈になる。
フロントパネル側にラジエターを搭載した場合、ゴム製チューブが邪魔をするため、トップ部には120mm口径ファン1基のみでの運用となる |
最後にグラフィックスカード(拡張カード)をマウントしてみよう。有効スペースは公称最大290mmだが、搭載テストに用意したGAINWARDのGeForce GTX 780 Phantomモデル(奥行き270mm)を搭載してみたところ、フロント部分にマウントしたラジエターまでの距離は残り約35mmだった。MicroATX対応のCube型PCケースで、奥行き300mmクラスのグラフィックスカードが搭載できる点は実に頼もしい。拡張スロットも4段が装備され、マルチグラフィックス構成でも十分に運用ができるはずだ。
グラフィックスカードの固定は、側面レバーによるワンタッチ式。ネジ留め不要だが、経年使用のぐらつきを心配するなら、ネジ留め補強も可能 | |
フロントマウントのラジエターと冷却ファンはそれぞれ25mmで、既に合計50mmのスペースが占有されている。もしラジエターが無ければ、およそ320mm程のスペースが確保できる |
ATX対応「Air 540」の検証から1年。弟分となるMicroATX対応「Air 240」を数週間にわたり、じっくりとイジリ倒してみた。さすがにコンセプトを同じくした小型モデルだけあって、兄貴分「Air 540」の面影をところどころに感じる事ができた。
両者共通のキーワード「デュアルチャンバーレイアウト」は、今でこそライバル他社でも見られる設計だが、そこはCORSAIRの本家たる意地。単にMicroATXにリサイズしたように見えるかもしれないが、最適化された内部構造にはおのおの説得力がある。
左右セパレート構造により熱源を振り分けただけでなく、各パーツの居住性を考えた、互いの干渉を上手に避けるレイアウト。さらにボトムパネルを含む全5面のパネルが全て取り外す事ができるため、小型PCケースではつきものの組み込みのしづらさが一切感じられなかった。また2.5/3.5インチシャドウベイのトレイが、背面から外部アクセスできる点は至極斬新。柔軟な発想もさることながら、これを実現してしまう思い切りは、既成概念に捕らわれないCORSAIRらしさを感じさせる。
新作「Air 240」は、Mini-ITX以上、ATX未満のMicroATXフォームファクタ対応PCケースの中では、現状最上位クラスに位置付けるべき良品として、是非オススメしたい。