エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.360
2014.09.25 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
話が少々脇道にそれてしまったが、ここでは「GAMING APP」による簡易オーバークロックの効果をベンチマークソフトで確認してみよう。テストには、レンダリング速度を計測する定番ソフト「CINEBENCH R15」を使用している。なお、いずれも無理のない安全圏における簡易チューンとあって、問題なくベンチが完走した。
CINEBENCH R15(cb) |
小幅なクロック変動とあって大げさなスコア差はついていないものの、それでも「OC Mode」時は定格比で10%以上スコアを伸ばしている。「Gaming Mode」時も最大クロックは定格時と同じながら、上限に張り付くためかパフォーマンスが向上。特に軽い動作を想定したシングルコア計測においては、「OC Mode」「Gaming Mode」ともに大きくスコアを伸ばしている。一方でクロックを低下させる「Silent Mode」はそれほど定格動作と差がないため、日常的にはこちらで動かしてもよさそうな印象だ。
最後に、「GAMING APP」による消費電力への影響をチェックしておこう。それぞれ「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時として、ワットチェッカーによる計測を行った。
消費電力計測(W) |
こちらも「CINEBENCH R15」計測時と同様、動作クロック(コア電圧)が上昇するにつれて消費電力が増加している。高負荷時・アイドル時ともに「OC Mode」が抜きん出ていることから、パフォーマンス不要の際は「Silent Mode」などに切り替えておくといいかもしれない。なお、この中でもあまり消費電力で増減のない「Gaming Mode」は、パフォーマンス向上も見込めることから、バランスのよい設定といえそうだ。
とにかくプレミアムなイメージのある「Haswell-E」対応のハイエンドプラットフォームにおいて、ゲーミング向けモデル最安級の「X99S GAMING 7」は面白い選択肢だ。今回テストに使用したCore i7-5820Kともども、メインストリーム環境からプラスアルファの出費で手が届いてしまう。上位CPUからはスペックが一段落ちるのは否めないが、それでもDevil’s Canyon(16レーン)以上の28レーンをサポートするPCIeインターフェイスに加え、6コア/12スレッドのマルチスレッド環境が手に入るのは大きい。より上位が売れているという「Haswell-E」プラットフォームながら、メインストリーム超えのゲーミングマシンを組むにはピッタリなカップリングになりそうだ。
メインストリーム超えのマルチスレッドにマルチGPU、大容量メモリでゲーミングマシンが組みたい。装備充実な「X99S GAMING 7」は、それを最小限のコスト増で実現できる |
もちろんそれを可能にしているのは、「X99S GAMING 7」のゲーミングマザーボードとしての完成度の高さ。ゲーミングデバイスを活かせる周辺機能やKiller NICによる優れたネットワーク環境、オンボード最高レベルのオーディオ回路など、これ1枚にゲーマーが求める機能がうまく集約されている。コストパフォーマンスとはあまり縁がないプラットフォームながら、堅実でバランスのいいマシンがローコストで完成。ゲーミングユースを見据えて「Haswell-E」に手を伸ばすなら、ぜひこの1枚を選択肢に加えておこう。