エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.361
2014.09.28 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ベンチマークテストが一段落したところで、ここからは動作中における「GTX 970 GAMING 4G」の挙動を別な側面から眺めてみよう。まずは「Twin Frozr V」がいかに働いていたかをチェックすべく、ベンチマーク中のGPU温度とファン回転数を「GPU-Z」を使用して計測する。なお、計測環境は「3DMark」“Extreme”プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時とした。
GPU温度計測(℃) | |
ファン回転数計測(rpm) |
まずはじめに断っておくと、当然ながら温度が60℃を下回るアイドル時はすべてのクロック設定でファンレス動作となる。高負荷時には動作クロックに応じて温度が増していくものの、その推移は非常に緩やかだ。必要に応じて徐々にファン回転数を上げる、GPU温度を一定レベルに維持していくという、「Twin Frozr V」の性格がよく現れている。
とはいえOCクロック時はアイドル時で最もファン稼働のしきい値に近く、できるだけファンレス状態で動作させたい場合はクロックを下げた方が効果的。そういう時こそ、「GAMING APP」の「Silent Mode」が役に立つだろう。
テストの締めくくりとして、設定した動作クロックごとに「GTX 970 GAMING 4G」の消費電力がどう推移するかを確認しておこう。先ほど同様、「3DMark」“Extreme”プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時として、ワットチェッカーによる計測を行った。
消費電力計測(W) |
TDP140WのCore i7-5820Kとのコンビでテストを行ったワケだが、最も動作クロックの高いOCクロック時でも300Wを下回るなど、第2世代「Maxwell」の省電力性が際立っている。今回は軽めのチューニングに留まったとはいえ、消費電力の面でGTX 970のオーバークロックは影響が少ないと言えそうだ。優れたクーラーと信頼性を兼ね備える素性のよいモデルであれば、積極的にチューニングに挑んでも構わないだろう。
電源ユニットなどとは異なり、グラフィックスカードにおけるセミファンレスモデルは未だに少数派だ。特にハイエンドの世界ではたやすく凶暴な発熱をもたらすGPUも少なくないため、その恩恵を受けにくいという話もある。ところが今回取り上げたGTX 970はじめ、第2世代「Maxwell」のGPUはハイエンドらしからぬ省電力・低発熱が持ち味。その異色の性格は、一定温度以下で0dB動作を実現するセミファンレスクーラーとの相性が抜群にいい。そのため、単に圧倒的な冷却能力で発熱を制圧するといった一点突破型のクーラーに比べ、新生「Twin Frozr V」のように“どのように冷やすか”を考えぬいたモデルとの組み合わせは絶妙だった。
使い方次第ではファンレス動作をも実現する、スマートな新型クーラー「Twin Frozr V」。「Maxwell」の持ち味を生かした、柔軟なハイエンドモデルが完成した |
また、とにかく扱いやすさが目につく「GTX 970 GAMING 4G」ながら、パフォーマンス面でも納得の1枚。イマドキのゲームタイトルことごとくが快適に動くGPUパワーに加え、お手軽なチューニングでもあっさり性能を引き出してしまうポテンシャルの高さは従来シリーズに引けをとらない。スマートなクーラーに導かれて静かなるゲーミングライフを送るもよし、余剰の冷却性能と高耐久を武器に性能アップに励むのも一興。ハイエンドグラフィックスの秀作として、幅広い遊び方に付き合ってもらおう。