エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.362
2014.09.30 更新
文:GDM編集部 池西 樹
Core i7-5960Xと「X99 Extreme4」のオーバークロック耐性を確認したところで、パフォーマンスへの影響について「CINEBENCH R15」を使い確認しておこう。
CINEBENCH R15(cb) |
シングルコアテストではCPUへの負荷が軽すぎるため、1.20GHzからあまりクロックが上がらずスコアはほぼ横並び。一方、クロックが設定通りに上昇するマルチコア時は、順当にスコアが上昇し、「Turbo 4.5GHz」では定格から30%以上パフォーマンスが引き上げられている。マルチスレッド処理性能を重視するなら、UEFIの簡易プリセットは非常に有効な手段と言えるだろう。
シングルコアテスト実行時のタスクマネージャーを確認。CPU使用率はわずか6%しかなく、OSからはアイドル時と変わらない負荷として認識されてしまうようだ |
最後にオーバークロックによる消費電力への影響について確認しておこう。計測にあたっては「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最低値をアイドル時に設定している。
消費電力(W) |
いずれのプリセットでも、アイドル時は省電力機能が有効に働き、消費電力に大きな違いが出ていないのは、常用を検討しているユーザーには嬉しいところ。また高負荷時は、大幅にコア電圧が盛られていることもあり、最もライトな「Turbo 4.0GHz」でも87.6W増、「Turbo 4.5GHz」では199W増となかなか強烈な結果。「X99 Extreme4」では、堅牢な電源回路のお陰で安定しているが、電源回路が弱いマザーボードではCore i7-5960Xのオーバークロックはかなり厳しいだろう。
ハイエンド向けプラットフォームでは、いくら価格が安くても、パフォーマンスや機能が極端に制限される製品は敬遠される傾向にある。しかし、今回検証を進めてきた「X99 Extreme4」に対しては、その心配は全くの杞憂に終わった。最廉価帯モデルにも関わらず、搭載コンポーネントや電源回路は上位モデルとほぼ同等。定格運用はもちろん、常用レベルのチューニングまでならCore i7-5960Xとの組み合わせでも、不満を感じることはないだろう。
上位モデルと同等の堅牢な電源回路で、オーバークロック時でも安定した動作が期待できる |
またメモリスロットや、ストレージ周りといった拡張性にも大きな違いはなく、思いつく制限といえばマルチグラフィックスへの対応ぐらい。これも一部のエンスーゲーマーを除けば、大きなマイナスポイントにはならず、多くのユーザーが納得できる装備を備えている。
高価な製品が幅を利かせるLGA2011 v3プラットフォームの中にあって、妥協をすることなく使える「X99 Extreme4」は、まさにミドルレンジの理想型と言っていいだろう。