エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.367
2014.10.29 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
MSI「GTX 980 GAMING 4G」 実勢売価78,000円前後 製品情報(エムエスアイコンピュータージャパン株式会社) |
ハイエンド向けGPUとしては久しぶりのヒットとなったGTX 980/970は、圧倒的ワットパフォーマンスで名を馳せた「Maxwell」の第2世代アーキテクチャを採用している。最上位のGTX 980ですらTDP165Wとミドルレンジ級で、その控えめな発熱特性を生かしたセミファンレスクーラーの搭載は新たなトレンドだ。
そしてその潮流に乗ってMSIがデビューさせた、セミファンレス仕様の最新型クーラーが「Twin Frozr V」。先だってレビューをお届けした「GTX 970 GAMING 4G」に初搭載されたクーラーで、優れた冷却パフォーマンスとスマートな挙動を両立させている。それでは今回の主役である「GTX 980 GAMING 4G」は、同じクーラーを採用した上位GPUモデルなのだろうか?といえば、実はそうではない。
先行して登場したGTX 970モデルと同様、クーラーにはセミファンレス動作に対応する最新世代の「Twin Frozr V」が搭載されている |
新設計された100mm径デュアルファンと、大型ヒートパイプを備えた全銅製ヒートシンクを組み合わせる外観はほとんど同じ。一定以下の発熱ではファンが回転しないセミファンレス機能「Zero Frozr」もまた同様だが、「GTX 980 GAMING 4G」には新たに2つのファンを個別コントロールする「Hybrid Frozr」という新機能が実装されている。基板上の各所に配置されたセンサーが温度を計測、必要な箇所を必要な分だけ冷却するという賢い仕組みだ。グラフィックスカードのクーラーもここまで進化したのか、という印象を受けるのは筆者だけではないだろう。
GeForce GTX 980搭載グラフィックス「GTX 980 GAMING 4G」。「Twin Frozr V」の冷却性能を生かし、出荷時からオーバークロックが施されている |
さて、その新機能を備えた「Twin Frozr V」を搭載する「GTX 980 GAMING 4G」は、MSI「GAMING Series」の例にもれず標準でカスタマイズが施されたオーバークロック仕様に仕上げられている。独自のチューニングユーティリティ「Gaming APP」を組み合わせれば、最大でコアベースクロック1,216MHz(リファレンス1,126MHz)、ブーストクロック1,317MHz(同1,216MHz)へとパワーアップ。GPU解禁当初の主流だったリファレンスモデルを凌駕するパフォーマンスを発揮する。
また、MSIならではの特長として、独自の品質規格「ミリタリークラス4」に準拠するタフネスが挙げられる。米軍事調達規格「MIL-STD-810G」をクリアする高品質コンポーネントを搭載。多少の無茶を許容する高い耐久性と、長期運用を可能にする安定動作を実現した設計だ。