エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.373
2014.11.21 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
拡張カードの有効スペースは294mmが公称値。さらに2.5/3.5インチシャドウベイのトレイを外す事で、最大406.2mmまでスペースは拡大する。搭載テストには奥行き270mmのグラフィックスカードを用意したが、残り約20mmを残し、スッポリ収める事ができた。
奥行き270mmのグラフィックスカードを搭載。拡張スロットの固定ネジは「脱落する」ハンドスクリューが採用されてはいるものの、場所が狭いだけにドライバーは必須。 |
次に電源ユニットを搭載してみよう。搭載サンプルにはCORSAIR「RM850」を用意。奥行き180mmと大型サイズながら、フルモジュラー式を採用する事で扱い易い。
ハンドスクリューで固定された枠を取り外し、電源ユニットをインチネジで固定。背面から本体をインストールさせれば装着は完了する。なお電源ユニットの搭載スペースだが、ボトム面にベタ置きする2.5/3.5インチ共用シャドウベイを使わなければ、フロントパネルまでの一直線全てを使う事が可能。どんなに長い電源ユニットでも難なく搭載できてしまう。ちなみにシャドウベイを使用しても、実測で約250mmまでの空きスペースがあり、居住性は良好だ。
ハンドスクリューで固定された枠に、電源ユニットをネジ留め。枠を元の位置に戻せばマウントは完了。”縦インストール式”は、主に搭載スペース左右からアクセスできない構造のPCケースで採用されている | |
電源ユニットの搭載スペースは広い。ボトム面ベタ置きの2.5/3.5インチシャドウベイの使用を想定すると、実測約250mmの搭載スペースが確保できる。余ったケーブルのスペースとしても利用できるだろう |
既存モデルをベースに、ゲーミングデバイスメーカー「Razer」の手により監修された「H440 Razer Edition」。グリーンLEDの発光ギミックは鮮やかで、PCゲームとは無縁の自作派にも、ちょっと気になる存在ではないだろうか。そもそもブラックとグリーンの相性は良く、ボディ底から設置面を照らす”間接照明”も悪くないし、うるさければ消灯すればいい。サイドパネルのアクリル窓から覗く「Razer」のロゴは、さりげなく内部構成パーツを引き立て、あたかもショーウインドウのようだ。シンプルに振った外観デザインも十分に日本市場で受け入れられる仕上がりと言えるだろう。
しかし改善点も多い。お世辞にも組み立て精度が高いとは言えず、サイドパネルの取り付けもどこかギスギスしている。またスチール製の2.5/3.5インチシャドウベイトレイの固定方法もいまひとつで、金属同士がこすれた傷が目立つ。さらにいただけないのが、至る所で採用されている「脱落しない」ハンドスクリューだ。ネジの軸の一部に溝を刻まない事で、その場に留まる一般的な「脱落防止ネジ」だが、どのネジも固く、結局ツールフリーでは作業できなかった。
いずれも細かい事だが、日本市場で評価されるには、これらはとうてい黙認できるものではない。スマートな外観スタイルやそつのない内部設計、自慢の発光ギミックには注文がないだけに、マイナス部分が際立つ結果となった。
今やNZXTは人気PCケースメーカーのひとつに数えていいだろう。ただ、もうひと皮むけて欲しい。海外メーカーのセールスマネージャーが口を揃えるように、特に厳しい目を持つとされる日本市場。そこで更に存在感を増していけるのか、一段上のクオリティを出せるか否かに掛かっている。