エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.381
2014.12.15 更新
文:GDM編集部 池西 樹
ASRockが提供している統合ユーティリティ「A-Tuning」。詳細なオーバークロックに加え、プリセットによる簡易オーバークロックにも対応する |
続いてASRock謹製ユーティリティ「A-Tuning」を使い、CPUコアのチューニングに挑戦していくことにしよう。検証ではTurbo 4.0GHz~Turbo 4.5GHzまで全てのプリセットを選択し、「OSの起動」と「CINEBENCH R15」が完走できるのか確認している。
プリセット設定とはいえ、かなりピーキーなチューニングが用意されている「A-Tuning」だが、全てのプリセットで「OSの起動」「CINEBENCH R15」をクリア。コア電圧は定格から最高で+0.344Vと大幅に盛られているが、12フェーズの堅牢な電源回路のおかげもあり、不安定な挙動は一切見られなかった。
「A-Tuning」によるオーバークロック動作を確認したところで、CPUコアへのパフォーマンスの影響を「CINEBENCH R15」にてチェックしていこう。
CINEBENCH R15(cb) |
CPUのパフォーマンスがリニアに影響するベンチマークということで、クロックに合わせて綺麗にスコアが向上。特に4.50GHz動作ではシングルコア・マルチコアとも約25%という大幅な伸びを見せており、オーバークロックの効果は非常に高い。Haswell-EではCPUクーラーが別売のため、高冷却モデルを組み合わせている人も多いはず。冷却性能に余裕があるのなら、積極的にオーバークロックに挑戦してみるといいだろう。
最後に、オーバークロックによる消費電力への影響について確認しておこう。計測にあたっては「CINEBENCH R15」実行時における最も高い数値を高負荷時、起動直後10分間放置した際の最低値をアイドル時に設定している。
消費電力(W) |
まずアイドル時の消費電力を確認すると、SASコントローラやブリッジチップを実装していることもあり、その他の製品に比べるとかなり高めの印象。またCPUコア電圧が固定される4.40GHz以上では、オフセット設定に比べて1段高い数値になっている。「A-Tuning」のプリセットは簡単切り替えることができるので、不要な場合は標準状態に戻しておくといいだろう。
また高負荷時の消費電力を確認すると、4.50GHzでは約180W増というなかなか強烈な数字。4.50GHzというアグレッシブなプリセットは、ASRock X99シリーズの堅牢な電源回路があってこその設定であることがわかる。
Intel X99 Expressチップセットでは、最新CPU“Haswell-E”への対応に加え、Intel X79 Expressのウィークポイントである、ストレージ周りが大幅に改善されているのはご存知の通り。さらに今回の主役「X99 Extreme11」では、SASコントローラ「SAS 3008」が搭載され、計18ポートものSATA3.0を標準装備。加えて、2基のレーンスイッチチップによる、フルレーンの4-Wayマルチグラフィックスや「Ultra M.2」×2対応など、まさにコンシューマ向けとしては最高峰の拡張性を実現している。
一切妥協することなく、ハイエンドPCを構築できる究極の1枚 |
また12フェーズの堅牢な電源回路や高品質コンポーネント、さらにはASRockの設計技術の高さもあり、これだけの機能を詰め込んだにも関わらず、不安定な挙動を示すことがないのも評価できるポイントだ。実売90,000円前後という価格設定は、ハイエンドプラットフォームとしてもかなり高価だが、SAS 12Gbps対応カードを別途購入することを考えれば許容範囲内。メインストリーム向けに比べ、アップデート頻度の低いハイエンド。出来る限りハイパフォーマンスな構成を長く利用したいなら、「X99 Extreme11」は最良の選択肢となるだろう。