エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.382
2014.12.17 更新
文:フリーライター・石川ひさよし
最後は消費電力を見ていこう。計測にはWatt’s Up Proのログ機能を用い、各テスト時に加え、起動後10分間(アイドル時)の最小値を添えている。
【オンボードGPU】 消費電力計測 | |
【GTX 780 Ti】 消費電力計測 |
オンボードGPU使用時は、最大でも123W程度しか達しない環境のため、「EDG650」のパフォーマンスを活かしきれていない。123Wではおよそ「EDG650」の容量の20%といったところだ。80PLUSで「EDG650」のテスト結果を確認してみると、20%ロード時で88.5%、50%ロード時で91.07%、100%ロード時で89.17%となっている。88.5%なら比較的高効率ではあるが、より効率を高めるなら550Wの「EDG550」に落とすか、あるいはHDDなどの追加搭載を検討してもいいだろう。
GTX 780 Ti搭載時は最大446Wなので、「EDG650」の容量の70%近辺になる。変換効率が最もよい50%は大きく上回ってしまっているが、動作に不安はない。もっとも、ゲームにおいては、OCCTのPowerSupplyTestのようにシステム全体に強烈な負荷がかかるということはあまりない。3DMarkで計測したところでは370W程度に収まっていたため、これなら50%ロードからさほどかけ離れているわけでもない。結論としては、システム側が今回と同様にミニマムであれば、アッパーミドルGPU~ハイエンドGPUまでが変換効率のよいゾーンで利用できると言える。
ひと昔前だと、1,000Wの大容量クラスはもちろん、600Wのメインストリームクラスの電源ユニットでも、高負荷時にはそこそこ耳障りなファンノイズを発したものだ。しかし、昨今はさすがに爆音電源は見かけなくなった。そして「EDG650」も静音性は高く、少なくともアイドル時、高負荷時ともCPUクーラーやグラフィックスカードのファンよりも静かだった。これなら、むしろCPUクーラーやグラフィックスカード側、PCケースの冷却ファンなどの静音化に注力すべきだろう。
動作音はバラック状態でもほぼゼロ。そもそもほとんど振動しないが、制振ラバーゴムも付いて万全の構え |
内部レイアウトを見れば、もう少しコンパクトにできそうな印象を持った。しかしそれを敢えてせず、比較的余裕のある設計は発熱と冷却という点でも効果があり、それらが長寿命、安定性という点にも貢献するだろう。堅実な作りは、これまでAntecが築いてきた信頼性を再確認できるものだ。
容量で見れば、メインストリームクラスのCPUにアッパーミドル~ハイエンドクラスのGPUを搭載するグラフィックスカードを1本という構成にちょうどいい。今回はGeForce GTX 780 Tiを用いたが、GeForce GTX 980や970の、もう少しTDPが低いクラスを組み合わせれば、ゲーム中の消費電力をさらに変換効率のよいゾーンに収められるだろう。