エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.385
2014.12.26 更新
文:GDM編集部 池西 樹
「ZBOX PI321 pico Win8.1 with Bing」では、SSDと同じフラッシュ技術を採用するeMMCをストレージに搭載している。低消費電力かつコンパクトなのが特徴だが、パフォーマンスはどの程度なのか気になるところ。そこで定番ベンチマーク「CrystalDiskMark 3.0.3b」と「ATTO Disk Benchmark 2.47」のスコアをチェックしておこう。なおテスト中は無駄な負荷がかからないよう、ネットワーク接続は切断して計測を行っている。
CrystalDiskMark 3.0.3 1000MB/ランダムデータ | CrystalDiskMark 3.0.3 1000MB/0fillデータ |
ATTO Disk BenchMark 2.47 |
「CrystalDiskMark 3.0.3b」のスコアを確認すると、シーケンシャルアクセスは読込168MB/sec、書込70MB/secで、シーケンシャル書込はやや苦手な印象。一方、OSやアプリケーションの起動に重要なランダムアクセスは、4Kが読込/書込とも11MB/sec、4K QD32は読込28MB/sec、書込15MB/secで、いずれもHDDに比べると遥かに高速。「ZBOX PI321 pico Win8.1 with Bing」の良好なレスポンスは、eMMCのランダムアクセス性能によるところも非常に大きいことがわかる。
また「ATTO Disk BenchMark 2.47」の結果は「CrystalDiskMark 3.0.3b」とほぼ同じ。グラフも綺麗に上昇しており、転送サイズに関係なく安定したパフォーマンスが期待できる。
ベンチマークセッションのラストは、消費電力と発熱について検証しておこう。高負荷時は「OCCT 4.4.1:PowerSupply Test」実行中の最大値、アイドル時は起動後10分間放置した中で最も低い数値を採用している。
消費電力計測(W) | |
プロセッサ温度計測(℃) |
消費電力はアイドル時5W、高負荷時でも11Wを超えることはなく、省電力性は素晴らしいの一言。常時PCを起動しているユーザーには、とりわけ魅力的な存在となるだろう。またプロセッサの温度はアイドル時52℃に対して、高負荷時は81℃まで上昇した。コンパクトな筐体とファンレス駆動のため、いずれもやや高めだが、Atom Z3735FのTj MAXが105℃であることを考慮すればマージンは十分、熱暴走の心配もないだろう。
ここまで「ZBOX PI321 pico Win8.1 with Bing」の検証を進めて来たわけだが、“よくこのサイズにこれだけの機能を詰め込んだな”というのが素直な感想だ。Atom ZシリーズやeMMCなど、タブレット向けコンポーネントの登場により超小型PCの選択肢は増えているが、その多くは、有線LANやUSBポートが排除(または削減)され、一般的なデスクトップスタイルで使用するには追加投資や工夫が必要となる。一方、「ZBOX PI321 pico Win8.1 with Bing」では有線LANや3ポートのUSB2.0、オーディオ出力など、必要最低限の機能は網羅され、デスクトップPCの代替としてすぐに運用を始めることができる。
デスクトップPCに必要な機能を網羅しつつ、スマホサイズを実現した「ZBOX PI321 pico Win8.1 with Bing」。モバイルデスクトップPCから据え置き型の省電力サーバーまで使い方はいろいろだ |
パフォーマンスについても、グラフィックス中心の処理はやや荷が重いものの、オフィスアプリやWebブラウジングであれば問題なし。必要なアプリやユーティリティをインストールして携帯すれば、場所を選ばず使い慣れたPC環境で作業を行うことができる。また圧倒的な省電力性・静音性を生かした常時起動サーバーや、小さいフットプリントを生かしたリビングPCなど、工夫次第で使い方はいろいろ。幅広いニーズに応えてくれる懐の深い製品に仕上げられている。