エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.391
2015.01.28 更新
文:GDM編集部 池西 樹
続いて実際のゲームシーンを考慮した3Dベンチマークとして、MMO RPG「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」のスコアを確認していこう。テスト条件はグラフィック設定を“低品質”、解像度は1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの2種類を選択して計測を行っている。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン |
画質設定を最低にした状態でも、1,920×1,080ドットでは“重い”、1,280×720ドットでも“やや重い”止まりで、3Dゲームはやや荷が重い印象。拡張スロットもPCI-Express2.0(x1)しかない「Q2900-ITX」では、グラフィックスカードの増設も現実的ではなく、2D描画メインのライトゲームや、ブラウザゲームまでに留めておいたほうがいいだろう。
ベンチマークのラストは消費電力の測定で締めくくろう。高負荷時は「OCCT 4.4.1」を30分間実行中の最大値、アイドル時は起動直後10分間放置した際の最小値を採用している。
消費電力(W) |
デスクトップ向けCPUでは最も消費電力の低いG1820Tとの比較でも、アイドル時で6.9W、高負荷時で16Wの差がついており、Q2900の省電力性能は圧倒的。また今回は手持ち機材の関係で、500WのBRONZE認証電源を使用しているが、より高効率・低容量な電源や、ACアダプタを組み合わせれば、さらに消費電力を削減することができるだろう。
これまで“非力”という印象の強かった省電力SoCだが、今回の検証結果を見る限りPentium J2900については、その印象を改める必要がありそうだ。GPUコアについてはまだ差があるものの、CPUコアについてはデスクトップ向けローエンドとほぼ同等。メモリ帯域幅もデュアルチャネル化により大きく向上しており、オフィスアプリケーションやWebブラウジングなどの作業であれば、ストレスを感じることはほとんどないだろう。
Bay Trail-Dの拡張性やメモリ制限などを解消した「Q2900-ITX」。完成度の高いMini-ITXマザーボードに仕上げられている |
そして今回の主役である「Q2900-ITX」に目を向けると、大型のパッシブヒートシンクと高品質コンポーネントを組み合わせることで、ファンレスながら高負荷時でも安定した動作を実現。さらに拡張性の低さやメモリ制限など、Bay Trail-Dのウィークポイントも追加チップや独自UEFIでうまく解消され、やや高価な価格設定も納得の出来栄え。「Q2900-ITX」を使えば、これまでのように用途を限定することなく、幅広い活用ができる静音PCを無理なく構築することができるだろう。