エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.396
2015.02.17 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕 / 池西 樹(テストセッション)
「Kelvin S24」は型番からも想像できるように、120mm口径ファン2基を並べて搭載できる面積を持つ、240mmサイズラジエターが搭載されている。そもそもラジエターは、CPUで温められたクーラント液を、コアとよばれるフィンにファンの風を当てる事で冷却。冷やされたクーラント液を再びウォーターヘッドへ送り込む、この循環により冷却サイクルが成り立っている。言うまでもなく、ラジエターは熱を奪い取るスピードや、その能力を大きなポイントとし、冷却性能を左右する重要な構成パーツだ。つまりラジエターの冷却面積が広いほど、有利である事は想像できるだろう。
120mm口径ファン2基を並べてマウントできる、240mmサイズラジエター。両面には120mm口径ファン用のネジ穴が用意されている |
さて「Kelvin S24」では、120mmサイズラジエターの倍の面積を誇る大型ラジエターを備えるワケだが、素材は一般的なアルミニウムではなく、銅製とされている。これは水冷ならではの理由がある。
システムに異なる素材を使うと、その電位差により腐食が進行してしまうのだ。クーラント液には、腐食防止および電蝕防止対策が施されているものの、経年劣化は避けられない。少しでもトラブルを減らそうという考えから、「Kelvin S24」は受熱ベースプレート同様、ラジエターにも銅素材が選択されている。
開示されているラジエターの詳細寸法。PCケースへのマウントで、物理的干渉を未然に避けるためにも事前に確認しておく事が重要 |
ウォーターブロックとラジエターを結ぶウォーターチューブには、標準で折れ防止コイルが装着されている。チューブ自体は柔らかく、取り回しは極めて楽な部類。サイズは外径11mm/内径8mmで、長さは320mmとされ、一般的なオールインワン水冷ユニットより若干長い。
折れ防止コイル付きのウォーターチューブ。長さは320mmで、フロントパネル部へのマウントも考慮されている |
これまで市場に出回ったオールインワン水冷ユニットのほとんどは、メンテナンスの必要がなく、分解もできない。しかし「Kelvin S24」はメンテナンスフリーが大前提ながら、任意で水冷パーツの増設および交換ができるようになっている。そこでカスタマイズを可能にする上で最も重要なポイントが、各パーツをジョイントするフィッティングの存在だ。
ウォーターチューブと水冷パーツをジョイントする役割を果たす「Kelvin S24」の真鍮製フィッティングは、一般的に互換性の高い「G 1/4インチ」サイズを採用。DIY水冷同様の方法で、ねじ込み固定されている。なお手元の資料によると、フィッティングのネジ首下は5mmとされ、ドイツ工業規格(DIN)に基づき製造。Fractal Designが交換用として保証するメーカーとして、Alphacool、Phobya、 Aquatuningブランドの各メーカーが挙げられている。
メンテナンスフリーのオールインワン水冷が前提ながら、DIY水冷の一面をもつ「Kelvin S24」。フィッティングは一般的な「G 1/4インチ」サイズで、カスタマイズを想定し着脱が可能 | |
なお腕に覚えのないライトユーザーは、市場に多く出回るオールインワン水冷ユニットとして「安全に使う」ことをオススメしたい |
ラジエターに2基並べて搭載できる、120mm口径ファンには「Silent Series HP 120」という4pinコネクタ仕様のPWM対応モデルを採用。カタログモデル同様、ホワイトインペラとブラックのリブ無しフレームの組み合わせで、ケーブルはスリーブタイプだ。
標準で2基付属される120mm口径ファン「Silent Series HP 120」。ラベルには型番を表す「FD-FAN-SSHP-120」の文字と、DC12V/0.27Aの表記も確認できる |
羽根形状はごく一般的なもので、枚数は120mm口径25mm厚モデルでは標準的な7枚仕様。軸受けの詳細は開示されていないが外観上、若干中心軸の直径が大きいタイプの冷却ファンが採用されている。
回転数は800~1,700rpmで、騒音値は最小26.9dBA、最大風量は最大62.4CFM、静圧は2.33mmH2Oとされている。
上段は静圧と風量、下段はPWM可変の回転数を表すグラフ |