エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.398
2015.02.28 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
検証の最後は「Core X9」にPCパーツを実際に組み込み、各エリアの空きスペースや作業中に気が付いた事などをポイント別に解説しよう。両サイドパネルやトップパネル、さらにマザーボードトレイやHDDケージなど、構造部品の多くが取り外し可能なフルモジュラー仕様のPCケースだけに、組み込みはし易い。もちろん内部容積の広さも、作業効率の向上に大きく貢献している事は言うまでもない。
Thermaltakeが提唱する「Tt LCS 水冷システム認証ケース」(LIQUID COOLING SUPPORTED)。オールインワン水冷ユニットに留まらず、先にリリースされた「Pacific」シリーズ(DIY水冷パーツ)導入に最適化されたPCケースを示し、モデル選びの目安にもなるだろう |
とにかく内部容積が広いPCケースだけに、各構成パーツの搭載スペースはデスクトップPCケースとは比べものにならない。グラフィックスカードの有効スペースも例外ではなく、標準状態で奥行き400mmまでサポート。さらに5.25インチオープンベイユニットを取り外すと、最大590mmまで拡張される。
今回搭載テストに用意したのは、MSI「GTX 960 2GD5T OC」で、全長は約273mm。当然ながらまったくは問題ない。
奥行き273mmのグラフィックスカードが小さく見えるほど、拡張カードの居住性は高い | |
テストに用意したのはMSI「GTX 960 2GD5T OC」。末端のマザーボードトレイには、ケーブルマネジメントホールがあり、補助電源に接続したケーブルの処理も容易だ |
次にCPUクーラーの搭載スペースを確認してみよう。CPUソケットの最上部から計測すると、実測で250mmだった。どんなに大きなCPUクーラーでも、高さが200mmを超すことはない。さらにサイドパネルに突起物がないため、物理的干渉をおこす心配も無い。「Core X9」のCPUクーラー高さ制限は、事実上ないと解釈してもいいだろう。
CPUクーラーの有効スペースは高さ250mmまで。現在市場に流通するCPUクーラー全てが搭載できるはずだ |
右側下部にマウントされる電源ユニット。有効搭載スペースは公称220mmまでとされている。底面はケースの奥行き分だけの空きスペースがあるものの、最大3基が搭載可能な120mm口径ファンの増設スペースを兼ねている。そもそも220mmの有効スペースは十分だが、同一フロアに冷却ファンを増設させるなら、余ったケーブルが干渉しないように注意しよう。
なお今回の搭載テストには、Thermaltake「Toughpower 1000W Gold」(1,000W/80PLUS GOLD)を用意した。このモデルは135mm口径ファンを搭載するモジュラータイプの電源ユニットで、奥行きは180mmとされている。
Thermaltake「Toughpower 1000W Gold」の奥行きは180mm。同一フロアには120mm口径ファンが最大3基搭載できる |
Thermaltake「Core」シリーズが注目されたのは、2台重ねて1台のPCケースとして使用できるスタック設計によるところが大きい。ミドルタワーPCケースとはレイアウトの異なる、Cube型PCケースの特徴的な内部構造を大いに活用。見事に「1+1=2」以上の居住性と使い勝手の向上に成功している。
「Core X9」の設計理念は、「スタック状態での高い拡張性」にある。とはいえ単体でも十分に高い居住性が確保されている |
「Core X9」はE-ATX対応の大型PCケースであり、単体でも十分な容積がありつつも、2台重ねる事で大容量を確保。折しも国内市場でも順次発売が開始されている、Thermaltake初の本格的DIY水冷「Pacific」シリーズの480mmサイズで64mm厚の大型ラジエター「Pacific RL480 Radiator」(型番:CL-W014-AL00BL-A)がトップ部に2台搭載可能。加えて長さ330mmの大型リザーバー「Pacific T33 Reservoir」(型番:CL-W005-PL00BL-A)も収める事ができ、デュアル水冷などハイエンド構成への対応にも一切抜かりはない。
拡張性の高さが倍増するスタック状態での運用。単純計算で2台分の出費ながら、十分にその価値はある | |
スタック状態にする場合、まず上段の底面にあるインシュレーターを取り外し、さらに”ハッチ”を開け放つ。次に下段の天板を外し、上下をネジ留めで合体。なおマニュアルでは図解によるスタック方法が記載されている |