エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.398
2015.02.28 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
「Core X9」の冷却ファンレイアウトは多岐に亘り、実際の搭載イメージが掴みにくい。そこで検証の最後に120mm口径ファンをひと箱分用意し、増設スペース全てに搭載を試みた。
ひとつお断りしておくと、ここで行う搭載テストはあくまで「増設スペースをすべて活用する」ことが目的であり、マザーボードトレイやHDDケージなどは全て取り外した状態。言うなれば冷却ファンがたくさん搭載できるBOXという体だ。とはいえ2段重ねのスタック状態では、実際に冷却ファンを同等の個数を実装し、実用的なPCとして組み上げる事ができるはずだ。
単なる搭載イメージに留まらず、多少なりとも増設のヒントになれば、合計22個もの冷却ファンを組み上げた筆者の苦労も若干報われるというもの。配線を考えながらの作業は、やり直しを含め数時間にも及んだ | |
今回の搭載テストには最大10基の冷却ファン(3pin)が接続でき、SATA電源ケーブル1本で全ての給電を賄うファンHUB「Commander FX」(型番:AC-007-AN1NAN-A1)を3つ用意。国内では4月に発売が予定されている。予価は税抜1,280円(2015年2月現在)。すこぶる便利なアイテムだ |
この搭載テストは、Thermaltake国内正規代理店の株式会社アスクの協力により、RED LEDを内蔵した120mm口径「CLF 12 Red LEDファン」をほぼ1箱分用意した。それぞれの搭載スペースに、4本のテーパーネジで固定。なお何も考えずに搭載させると、ファンHUB「Commander FX」までのケーブルが届かなくなってしまう。この手の構成の場合、まずファンHUBの位置を決め、エアフロー方向さえ合っていれば、ケーブルの伸びる方向はバラバラでも構わない。ケーブルが冷却ファンに巻き込まれないよう、結束しながら作業を進める必要がある。
トップ部の冷却ファン増設プレートには1列4基、合計8基を搭載。天井部分の一面をビッチリ冷却ファンで埋め尽くされる様は実に壮観 | |
左側面下には、1列に4基が並ぶ。マニュアルによると、この増設エリアのエアフローは「排気」が推奨されている | |
ボトム面には縦に3基×2列、合計6基を搭載。ちなみに設置面から内部に風を取り込むエアフローにより、PCケース内部は「常時強風状態」となった |
120mm口径ファン計22個の搭載が完了したところで、通電してみよう。ここでは3pinコネクタ10口が集約された「Commander FX」を計3つ用意。それぞれSATA電源コネクタ1本を挿すだけで、接続した冷却ファン全てが動作する。なおくり返しになるが、これはあくまで搭載のみのテスト。実際のエアフローレイアウトや吸排気効率、さらに冷却ファンの搭載個数は、システムに見合った構成を構築してほしい。
圧巻の「全点灯状態」。低速・静音ファンの集合体とはいえ、120mm口径ファン22個、合計154枚のインペラからは大風量を生み出す。赤いLEDは美しいが、冬場の撮影だけにとにかく寒いという印象だけが強く残った。ちなみに青く発光するLEDは、「Commander FX」の通電状態であることを表す |
「Core V1」「Core V31」に続き、3台目の検証となった「Core」シリーズ。これまでイメージしてきたCube型とは違い、E-ATXに対応する大型PCケース「Core X9」は、かなり手ごわかった。設計面での根幹となる「フルモジュラーデザイン」は、構造物となるパーツを取り外す毎に姿を変え、間違いなくクラストップレベルの拡張性により、自作派のあらゆるリクエストに応えてくれる。そこは大容量ならではだが、決して大味ではなく、緻密に計算されている。
恐らく大多数が単体での使用と思われるが、スタック状態での「Core X9」は、これまで体験したことがない圧倒的な内部空間を手に入れる事ができる。さらに設置面と平行して搭載するマザーボードのレイアウトにより、PCを司る構成パーツの居住性が際立っている。
唯一の心配事は、設置場所の確保だろう。本稿で「Core X9」購入を決めたなら、まずは部屋の掃除を始めなければならない。