エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.419
2015.06.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
次に冷却ファンのレイアウトを解説しよう。内部容積の広いフルタワーPCケースとあって、大口径冷却ファンが複数搭載できるように設計されている。その外観からは想像しがたいが、「S10」はまさかの高エアフロータイプのPCケースという性格を持ち合わせているのだ。
なおエアフロー設計は、「スリーチャンバ」をベースとして、エリア毎に冷却を行う事が基本の考え方。「フロントHDDチャンバ」と「メインM/Bチャンバ」「ボトムPSUチャンバ」間に設けられた、実測約17mmのスリット「セントラルエアインテーク」が吸気口としての役割を果たし、風が通る道はしっかりと確保されている。
「S10」のエアフロー設計。特に側面は密閉タイプながら、「セントラルエアインテーク」を設けることでエアフローは高い状態で確保できている |
「メインM/Bチャンバ」フロント側には、標準で120mm口径ファン3基が搭載されている。前方「フロントHDDチャンバ」間に設けられた、「セントラルエアインテーク」の左右方向から吸気。マザーボードやグラフィックスカードが搭載されるメインエリアに、フレッシュな外気を送り続ける強力なエアフローを作り上げている。
ラジエターは240mmサイズおよび280mmサイズ、さらに360mmサイズが搭載可能。標準ファンのスペックは、回転数900rpm、騒音値14.7dBA、風量39.5CFM、静圧0.54mm-H2O。定格電圧はDC12V(起動電圧7V)/0.12A/1.44Wとされる。
マザーボードエリアに大量の外気を送り続ける、標準搭載の120mm口径3連ファン | |
ブラケットは2本のハンドスクリューで固定。120mm口径ファンは3基が標準装備品となり、140mm口径ファン2基に換装が可能 |
トップ部には140mm口径ファンが2基標準で装備されている。内部構成パーツから上昇する熱を、外部へ一気に排出する役割を果たしてくれる。またPCケースにおけるベントの要所は、120mm口径ファン換装用のネジ穴も用意。一般的な240mmサイズラジエター、および一回り大きい280mmサイズラジエターの搭載にも対応する。
標準装備品の140mm口径ファン。スペックは回転数800rpm、騒音値14dBA、風量41.2CFM、静圧0.28mm-H2O。定格電圧はDC12V(起動電圧7V)/0.12A/1.4Wとされる。ちなみに140mm口径ファンの標準装備はトップ部のみ | |
トップファンは専用ブラケットに固定。シャーシには2本のハンドスクリューで固定されているため、換装およびメンテナンス時は、トップパネルを外す必要がない |
リア部には120mm口径ファン1基が標準搭載される。エアフローは内部の熱を排出する排気方向で、120mmサイズラジエターの搭載も可能だ。なお標準搭載ファンのスペックは、回転数900rpm、騒音値14.7dBA、風量39.5CFM、静圧0.54mm-H2O。定格電圧はDC12V(起動電圧7V)/0.12A/1.44Wとされる。
リア排気用120mm口径ファンは、7枚羽仕様の25mm厚タイプ。固定には一般的なテーパーネジが使用されていた |
2.5インチ/3.5インチドライブがマウントされる「フロントHDDチャンバ」部、その底面をよく見ると、120mm口径冷却ファンが1基標準で搭載されている。一見、搭載したストレージに向けて、底面から吸気した風を上部に流すエアフローを構築するためと考えるだろう。しかしマウント方向から、ストレージエリアの熱を底面に排出するための”吸い出し用”として役割を与えられている。
スペックは回転数1,200rpm、騒音値21.7dBA、風量41.2CFM、静圧1.1mm-H2O。定格電圧はDC12V(起動電圧7V)/0.25A/3Wとされる。
てっきりストレージに向けてのエアフローと思いきや、熱を吸い出し、底面方向へ排出する吸気ファンとして標準装備されている |
「ボトムPSUチャンバ」にある2.5インチ専用シャドウベイ。その真横に位置するのが、120mm口径冷却ファン用の増設スペースだ。ここに冷却ファンを増設することで、2.5インチ専用シャドウベイに搭載されたストレージに、直接風を当てる事が可能。状況に応じて後から増設を検討してもいいだろう。
2.5インチ専用シャドウベイ横にレイアウトされた、120mm口径ファン増設スペース。プラスチックのプレートは、1本のハンドスクリューで固定されており、容易に着脱が可能 |