エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.423
2015.07.03 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
リファレンスモデルより高いパフォーマンスを発揮する「GTX 980Ti GAMING 6G」だが、その性能を支えている「Twin Frozr V」クーラーも大事な要素。ここではベンチマーク中のGPU温度とファン回転数をチェック。各モードの挙動を比べてみよう。
「3DMark」の「Fire Strike」プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時。OS起動後、何にもせずに10分経過した状態をアイドル時とし、温度とファン回転数は「GPU-Z」で確認している。
また、比較対象としてリファレンスクーラーを搭載したオーバークロック仕様のEVGA製GeForce GTX 980 Tiグラフィックスカード「06G-P4-4992-KR」も測定を行なっている。実動ブーストクロックは1,328.9MHzと、「Gaming Mode」と「Silent Mode」の間になっている。
GPU温度計測(℃) | |
ファン回転数計測(rpm) |
「GTX 980Ti GAMING 6G」は、ファンレス動作ながらアイドル状態で50℃程度になっている。40℃台を目指したいところだが、ファンが1,000rpmで回転しているリファレンスクーラーで41℃なのを考慮すると、ファンレスとしては悪くないレベルではなかろうか。
高負荷時は各モードの実動ブーストクロックが1,300MHz台のためか、GPU温度、ファン回転数ともにほぼ横並びになった。ただ、リファレンスクーラーとの冷却性能差は一目瞭然。リファレンスクーラーでは2,000rpmオーバーのファン回転数でも85℃だったが、「Twin Frozr V」は1,600rpm台で、70℃台を維持していた。GPU温度は「GPU Boost」によるOCに影響する訳で、最大ブーストクロックで、ほぼ安定動作していた「GTX 980Ti GAMING 6G」と違って、「06G-P4-4992-KR」は頻繁にクロックが変動していた。
フロント吸気ファンなどによるエアフローがないバラック状態でも、高い冷却性能を発揮した「Twin Frozr V」。モードによるファン回転数の変動がほとんど現われなかったのでは残念なところだが、回転数1,600rpmレベルではノイズが気になることは、少ないので最大パフォーマンスを発揮する「OC Mode」で常用しても問題ないだろう。
最後は各ベンチマーク実行時のシステム全体の消費電力だ。計測は最も動作クロックが高い「OC Mode」で行なっている。
消費電力計測(W) |
アイドル時は省電力動作になるだけあって50Wとかなり低いが、高負荷時はさすがに各ベンチマークともに300Wオーバーになっている。それでも600W程度の電源ユニットと組み合わせて使えるあたりはさすが「Maxwell」といえるだろう。
一定温度でファンが停止するセミファンレス動作に、オーバークロックによる高パフォーマンスや安定動作が魅力的な「GTX 980Ti GAMING 6G」 |
高い冷却性能を備える「Twin Frozr V」や独自品質規格「ミリタリークラス4」、高品質コンポーネントといったMSIこだわり仕様で、オーバークロックによる高パフォーマンス安定動作した「GTX 980Ti GAMING 6G」。同じハイエンドGPUのGeForce GTX 980やGTX 970と比べて、初期投資は高くなるが、高描画で重量級ゲームや4Kゲーミングを楽しむなら、GeForce GTX 980 Ti搭載でオーバークロック仕様の「GTX 980Ti GAMING 6G」はベストチョイスといえるだろう。
ハード面だけでなく、ワンクリックでクロックアップやファンを全力回転させた急速冷却。さらに目的にあわせてコントラストなどを調節できる独自ユーティリティの「Gaming APP」もグッドだ。