エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.424
2015.07.10 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
CPUクーラーの有効スペースは公称で高さ185mmまでがサポートされている。実際にL時型の指金で計測してみると、ほぼ同じ数値が確認できた。一般的なミドルタワーPCケースでは、およそ170mm程度またはそれ以下の有効スペースである事が多く、180mm超えは優秀な部類ではないだろうか。
実測でも180mmを超えたCPUクーラーの有効スペース。これだけのゆとりがあれば、大型サイドフローCPUクーラーもサイドパネルに干渉することなくマウントできるはずだ | |
搭載テストにはThermaltake「NIC F3」(型番:CLP0605)を用意。高さ155mmのサイドフロー型だが、最大185mmサポートだけに「NIC F3」が小さく見えてしまう |
イマドキのPCケースだけに、空冷のみならず水冷環境にも配慮した設計の「F51」。前後と上下には各々ラジエターが設置できるよう、スペースが割かれている。とはいえ一般的な搭載箇所といえば、筆頭はトップパネルになるだろう。
「F51」はラジエターの搭載スペースを前後/上下に確保。最大420mmサイズラジエターの設置がサポートされる |
これまでは120mmサイズラジエターが圧倒的に多かったため、リアの冷却ファン搭載スペースを利用した。しかし最近のミドルタワーPCケースでは、9割方はトップパネル部に120mm口径ファンを2基並べる240mmサイズラジエターが搭載できるようになっている。そこでトップパネルからマザーボードの基板までの距離を計測してみることにした。
トップパネルからマザーボード基板末端までの距離は、実測約70mm程度。ラジエターと冷却ファンが搭載されるスペースだけに、この距離が重要になってくる | |
DIY水冷キット「Pacific RL240 Water Cooling Kit」付属の240mmサイズラジエター「RL240」と120mm口径LEDファンをマウント。厚みは実測約90mmだが、ラジエター固定位置を左側に寄せることで問題なく搭載できる | |
Thermaltakeによる水冷搭載例。DIY水冷に最適化されたPCケースだけに、是非挑戦してみてほしい |
近頃のThermaltakeと言えば、一連の「Core」シリーズのヒットでもわかるように、多彩なバリエーションと冷却重視の明確なコンセプトにより、日本市場では好調なセールスを記録した。そもそもThermaltakeは、やみくもに高エアフロー化させたり、LEDファン等の装飾により見た目で勝負したりと、数あるPCケースの中でも、ある意味異彩を放つメーカーというイメージがあった。だが「Core」シリーズはもとより、今回投入された「F51」シリーズも過去のそれとは明らかに違っている。
これまで例に無い、無響室での騒音値テスト風景や、サーモグラフィによる温度分布の結果を製品サイトに開示。”ただのミドルタワーPCケースではない”点がアピールされている。
無響室に持ち込まれた「F51」。徹底した騒音値テストにより妥協無き1台が完成した |
徹底した静音志向の反面、パネルを外す事で高エアフローPCケースに姿を変え、あらゆるシーンに対応。ライトユーザーからエンスージアストまでをフォローする、よくばりな1台であることは間違いない。
Thermaltakeの新たな戦略は、成熟した日本の自作市場にどのように受け入れられるのだろうか。その試金石ともいえる「F51」シリーズに注目が集まっている。