エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.428
2015.07.25 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
テストにおいては終始空冷で動作させていた「GTX 980 Ti ArcticStorm」だが、その間「ArcticStorm」クーラーはどのように働いていたのだろうか。本項では「3DMark」“Ultra”プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時とし、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時と設定。それぞれのGPU温度とファン回転数を「GPU-Z」で計測してみることにした。
GPU温度計測(℃) | |
ファン回転数計測(rpm) |
まず温度を比べてみると、いずれの動作クロックにおいてもほとんど差は出ず。アイドル時に50℃、高負荷時に最大70℃程度を維持するように、必要な分だけクーラーが稼働している傾向がうかがえる。当然動作クロックが高くなるだけファンの回転数は増していくワケだが、それでも“伸びしろ”は500rpm程度。空冷状態においても、まだまだ「ArcticStorm」クーラーは余力を残しているようだ。
そしてアイドル時の場合は、いずれの環境でもファンが回転しないファンレス動作。「必要なだけ冷やす」というクレバーな稼働傾向と相まって、総合的な騒音はかなり抑えられている。
そして最後は、ベンチマーク中における消費電力をチェック。先ほど同様に「3DMark」“Ultra”プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定。その際の消費電力をワットチェッカーを使用して計測した。
消費電力計測(W) |
ハイエンドグラフィックスとしては、OCクロック時でも300W半ばに収まっており、さすがはMaxwellアーキテクチャと言った低燃費ぶりだ。アイドル時にやや無駄な電力が加算されているものの、高負荷時の消費電力増はおおむね許容範囲内。チューニングツールの「FIRESTORM」に複数の設定を保存するなど、ちょっとした工夫でさらに消費電力を抑えることができるだろう。
プレイの軸足がフルHD超の環境に移行しつつあるハイエンドゲーミングシーンにおいて、GTX 980 Tiはかなり有望な選択肢だ。重量級のタイトルでも、高描画設定のまま4K環境を視野に入れた高解像度で快適に遊ぶことができる。より高いクロックで動作するモデルであれば快適さもさらにアップ、そこで注目したいのが「GTX 980 Ti ArcticStorm」のもつポテンシャルだ。ZOTAC製品の中でも決して高いクロックの製品ではないものの、お手軽なチューニングでクラス最高峰の動作クロックを軽々と実現してしまった。こうしたカスタマイズが苦にならないユーザーにとっては、仕様以上の伸びしろが期待できるベストパートナーになってくれるに違いない。
一般的なモデルに比べ高額な投資になるものの、それに見合う装備とポテンシャルが魅力。クラス最高峰を目指せる、エンスー向けの遊べるグラフィックスカードだ |
もちろん最大の特徴である「ArcticStorm」クーラーの一番のウリは、空冷×水冷のハイブリッド仕様。空冷オンリーの状態に比べさらなるOC耐性にも期待できるとあって、このモデルが最も輝くのは、エンスー極まるカスタム水冷環境といえる。初期投資がやや高くついてしまう点がネックながら、この贅沢な標準装備を考えればそれもやむなし。エンスーな環境にはエンスー向けのグラフィックス、自分なりのカスタマイズを楽しみつつ、4K環境でそのポテンシャルを解き放とう。