エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.429
2015.07.30 更新
文:テクニカルライター・藤田 忠
最後は「980 Ti Super JetStream」の最大の魅力と言えるオリジナルクーラー「JetStream」の冷却性能と静音性をチェックしていこう。ここでは比較対象にリファレンスクーラーを搭載したオーバークロック仕様のEVGA製GeForce GTX 980 Tiグラフィックスカード「06G-P4-4992-KR」を用意。なお、最大ブーストクロックは「980 Ti Super JetStream」と同じ1328.9MHzになっている。
GPU温度、騒音値ともにアイドル時はOS起動後10分なにもせずに放置した状態。高負荷時はGTAVのベンチマークを実行した際の騒音値で、GPUクーラーを上回るノイズを発するCPUクーラーを停止した状態も計測。GPU温度は「GPU-Z」を使い、騒音値はグラフィックスカードの各種出力端子から20cm離れた位置で計測を行なっている。
なお、テストはバラック状態で行なっているが、計測時の室温はCPUとグラフィックスカードからの発熱もあり、35℃前後に達していた。
GPU温度計測(℃) | |
騒音値(dBA) |
GPU温度が60℃未満のときはファンが完全に停止する「980 Ti Super JetStream」は、アイドル時に常にファンが回転しているリファレンスクーラーと比べて8℃上昇しているが、これはやむを得ないところ。逆に50℃で留まっている点を評価したい。優れた冷却性能は高負荷時にも現われており、「JetStream」はリファレンスクーラーよりも13℃もダウンしている。その上、この高負荷状態でも「JetStream」のファン回転数は1150rpm程度で、騒音値は38.8dBA(CPUクーラー停止)とファン停止状態から2.3dBAアップという優れた静粛性を発揮するのは、かなり魅力的だ。
夏休みやお盆休み、秋の夜長と、これからは何かと深夜ゲーミングが増えるもの。「980 Ti Super JetStream」と静かで冷却性能も高いCPUクーラーを組み合わせて、高負荷時も図書館レベル(40dBA前半)の静音ゲーミングPCを組むのも、おもしろそうだ。
優れた冷却性能と静粛性を備えた「JetStream」クーラーに、オーバークロックによる優位性を持ち、オリジナルクーラー採用の「GeForce GTX 980 Ti」搭載グラフィックスカードでは最安クラスとなる「980 Ti Super JetStream」はイチオシ |
オーバークロック仕様で、優れた冷却性能と静粛性を発揮した「980 Ti Super JetStream」。オーバークロック率こそ、トップクラスとは言い難いが、GPU温度60℃未満のときにファンが完全に停止する「0-db TECH」、高品質IC「DrMOS」や6フェーズ電源回路による安定性の向上、そしてオリジナルクーラー搭載モデルのなかでは最安クラスな税込10万円切りの価格と、コストパフォーマンスは抜群といえるのではないだろうか。
この夏は「GeForce GTX 980 Ti」が必要となるヘビー級の注目ゲームは、ちょっと見当たらないが、HDMI 2.0対応で実勢売価6万円前後となる27インチ4K液晶のLGエレクトロニクス「27MU67-B」など、4K液晶が順当に値下がり中。「980 Ti Super JetStream」と組み合わせて4Kゲーミングをはじめるのもいいかもしれない。