エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.430
2015.08.03 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
仕方がない事とは言え、この手のPCケースで最も懸念されるのは、エアフローレイアウトだ。Cube型でもなく、ミドルタワーPCケースでもない「RM1」は、縦横サイズを切り詰めることで、ATXマザーボードがようやくマウントできる設計。冷却ファンを複数搭載し、エアフローを確保するといったユーザーの自由度は確保されていない。これは洗練された外観デザインの代償であり、設計理念を理解した上で「RM1」を選択する必要がある。
フロント部に標準搭載される120mm口径ファン。「RM1」に搭載できる冷却ファンはこの1つのみ。マウント面にはスリットがないため、「Front Fan Bracket」を装着することで吸気エリアが確保されている。ちなみに標準装備される冷却ファンの詳細スペックは開示されていない |
なお、本体背面右下をよくみると、スライドスイッチが装備されている。これはフロント120mm口径ファンの回転数を制御する、ファンコントローラーだ。アルマイト加工が施されたアルミニウムボディには、「H」「S」「L」の刻印があり、任意で3段階に回転数が調整できるようになっている。使用状況や室内温度など、シーンに合わせて切り替えることができる。
3段階切替のファンコントローラー。冷却ファンの電源ケーブルは、ファンコントローラーに接続。給電は4pinペリフェラルコネクタによりファンコントローラー部へ供給する |
「RM1」の設計コンセプトにより、縦置き搭載を余儀なくされた電源ユニット。限られた内部容積から、小型筐体向けSFX規格にする手もあったはずだが、圧倒的に選択肢が多いATX規格がチョイスされている。
ATX準拠の電源ユニット用に大きくカットされた搭載スペース。限られた内部容積から、縦置きマウントが採用されている |
やや気になるのが、電源ユニットの冷却ファンは、マザーボード側に向けてマウントしなければならない点。サイドパネルにスリットがないため、吸気方向はどうしてもPCケース内部に頼るしかない。高負荷状態での運用時は、どうしても温度上昇が気になってしまうだろう。ここはできる限りの高効率の電源ユニットを選びたい。
搭載テストには奥行き180mmのフルモジュラー電源ユニットCORSAIR「RM850」を使用。「ODD Bracket」まで約100mm、フロント120mm口径ファンまで約75mmのスペースが確保できている。冷却ファンとの兼ね合いから、この程度の奥行きで収めておきたい | |
電源ユニット直下にマウントされる3.5インチHDD。その隙間は実測約5mm程度と絶妙。ただし熱問題がつきまとう事になるだろう |
一見、MicroATXまたはMini-ITX対応PCケースに見える「RM1」。ただし全6段構えの拡張スロットを見ると、なるほどATX対応PCケースである事がアピールされている。
また拡張スロット金具は黒塗装が施され、通気性を確保するメッシュ仕様に。このスタイルから想像できるように、冷却能力は決して高くない設計だけに、できる限りの対策が施されている。
一般的なミドルタワーPCケースに比べ、1段少ない全6段仕様の拡張スロット。大きく謳われてはいないが、マルチグラフィックス構成にも設計上では対応。ただしそんな性格の持ち主ではない | |
通気性を高めたメッシュ仕様の拡張スロット金具。唯一ブラックに塗装されたパーツだ |