エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.431
2015.08.08 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ここからはベンチマークテストを利用して、「Beebox」のパフォーマンスをチェックしていく。まずは定番のCGレンダリングソフト「CINEBEHCN R15」を使用して、CPUコアの性能を確認しよう。「Beebox」の搭載するCeleron N3000は2コアの省電力なSoCで、バースト時は2.08GHzで動作している。なお、テストはシングルコアとマルチコアの2種類を選択した。
CINEBENCH R15 |
さすがTDPはわずか4Wの2コアSoCとあって、スコア自体はやや低めに抑えられている。デスクトップ向けモデルに比べれば力不足は免れないところ、その分「Beebox」はメモリアクセスのデュアルチャンネル化などでパフォーマンスをカバーしている。実際にタフなCPUパワーを要求されるタスクにこだわらなければ、実用上のデメリットはあまり感じないかもしれない。
続いては、定番の3Dベンチマークソフト「3DMark」により、GPUコアのパフォーマンスをチェックする。オンボードグラフィックスであることから、テスト項目は「Sky Diver」と「Cloud Gate」の2種類を選択することにした。
3DMark |
ローエンド・モバイル向けの「Cloud Gate」では、そこそこのスコアの伸びをマークしている。ただしDirectX 11を使用する「Sky Diver」の方はやや厳しい数値で、最新の3Dパフォーマンスを要求するのはやや過剰かもしれない。「Beebox」は単体での多画面出力など、3Dゲームとは別方向の仕事に期待するのが無難だろう。
次は実際のゲームシーンを考慮したベンチマークテストとして、オンラインの大型タイトル「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」のスコアをチェックする。テスト条件としてグラフィック設定を“標準品質(デスクトップPC)”にセット、解像度は1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの2種類を選択して計測を行った。
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク |
さすがに超小型PCプラットフォームを使ってのプレイは想定外とあって、1,280×720ドットで“設定変更を推奨”、1,920×1,080ドットでは“動作困難”と、厳しいテスト結果になった。「Beebox」は場所を選ばず設置できるのが魅力ながら、こうした“ガチ”なゲームを遊ぶにはデスクトップマシンの前に座った方が無難だろう。
ベンチマークテストのラストには、同じく大作系のオンラインタイトルより「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」のテストを実行した。グラフィックス設定は“低品質”、解像度は1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの2種類を選択して計測を行っている。
ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンラインベンチマーク |
1,920×1,080ドットでは“重い”という判定ながら、1,280×720ドットで“やや重い”に改善。「FF14」とは異なりベンチマーク実行中の挙動もまずまずで、なんとかプレイできなくもないという印象だ。ただし実際は3D系のゲームというより、動画鑑賞やブラウザゲームなどが「Beebox」におけるグラフィックス系タスクの主戦場になりそうだ。
省電力プロセッサを採用し、ACアダプタで駆動する「Beebox」の消費電力はどの程度だろうか。最後に各種ベンチマーク中における消費電力を確認し、テストの締めくくりとしよう。なおそれぞれのベンチマークテスト中における最高値を高負荷時、逆に起動直後から10分間放置した際の最小値をアイドル時に設定。ワットチェッカーによる計測を行った。
消費電力 |
「Beebox」は12V/36WのACアダプタで駆動しているが、その消費電力は最も高負荷な3DMark動作時でも18Wに収まっている。アイドル時はわずか5W前後であり、実質的に常時起動させていても問題になることはなさそうだ。
小型プラットフォームのPCもすでに誕生から数世代を経ていることもあり、すでに“ただ動く”だけの存在ではなくなっている。今回検証を行った「Beebox」も同様で、決してパフォーマンスで飛び抜けた要素があるわけではないものの、使い勝手という面では極めて有望。優れたネットワーク機能に加えて、多画面構成や4K出力も可能なグラフィックス出力など、使い道を縛りすぎない万能性をもっている。さすがに3Dゲームを遊ぶには力不足ながら、手のひらサイズのPCに求められる要素を丁寧に満たしているという印象だ。
マルチメディアから軽量ゲーム、オフィスワークと幅広いニーズに応える使い勝手こそが魅力。必要十分な拡張性とコンパクトさを両立、それでいてリッチなインターフェイスやネットワークも完備と、隙が少ない1台だ |
さらにデュアルドライブ構成も可能な拡張性を持ちつつ、NUCよりもコンパクトに収まったボディなど、後発の立場を活かした特長も好感度高し。それでいて長時間の起動やベンチマークによる高負荷動作でも不安定になるシーンはなく、冷却面でも無理がない設計に収まっているであろうことが窺える。省電力性能も極めて優秀で、SSDを組み合わせた無音動作も小型モデルの運用とは相性がいい。あらゆるタスクを軽快かつ無難にこなす、まさに“蜂”のような手のひらPCが誕生した。