エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.444
2015.10.06 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
一通りのベンチマーク計測を終えたところで、テスト中における「TriFrozr」の挙動をチェックしておこう。リファレンス比で圧倒的な冷却パフォーマンスを誇る巨大クーラーは、いったいどのように働いていたのだろうか。「3DMark」“Ultra”プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時と設定し、GPU温度とファン回転数を「GPU-Z」で計測した。
GPU温度計測(℃) | |
ファン回転数計測(rpm) |
いずれの動作クロックでもオートで動かしていた「TriFrozr」だが、高負荷時は最大70℃前後とほとんど変化なし。回転数はクロックが上昇するにつれ上がっていくものの、70℃前後をターゲットに必要最小限の冷却を行っていることが分かる。そのおかげで、テスト中に3連ファンの騒音が気になったシーンは皆無だった。ただしある程度オーバークロックを行う場合は、安定動作が可能な回転数を手動で設定した方が安心かもしれない。
そして最後は、ベンチマーク中におけるシステムの消費電力をチェックしよう。先ほど同様に「3DMark」“Ultra”プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、逆に10分間何もせず放置した際の最低数値をアイドル時に設定。その際の消費電力をワットチェッカーを使用して計測した。
消費電力計測(W) |
最小構成のシステムではあるものの、最大でも400Wに収まる消費電力は、さすがMaxwellアーキテクチャと言ったところ。ただし「GTX 980Ti LIGHTNING」は600W以上の電源ユニットの搭載が推奨されており、より高いパフォーマンスを狙う場合は、それなりの容量のモデルをチョイスした方がよさそうだ。
さすがはGPUが熟成しきった時期に投入される「LIGHTNING」シリーズとあって、その完成度は歴代モデル同様の安心感がある。3連ファンクーラー「TriFrozr」はGTX 980Ti世代になってさらに進化、セミファンレスなどのイマドキ要素もカバーし、より強力な装備になった。標準でクラス最高峰のスペックにチューンされていることもあり、買って搭載しただけでも十分な満足度が得られる。まさにGTX 980Tiグラフィックスカードの決定版モデル、その一角を占めるのはこの1枚だろう。
ちょっと高くつくのはご愛嬌。強力なOC装備で固めた「LIGHTNING」シリーズの最新作、最強スペックを狙うなら最有力の1枚だ |
ただし12万円オーバーという高価格しかり、万人受けを狙ったモデルではない点は歴代シリーズ同様。ともすれば過剰ともとれる堅牢設計、最大TDP700Wをカバーする冷却機構、どれも極限オーバークロックを狙うエンスージアスト垂涎の装備だ。極冷向けのBIOSや専用オプションという稀有な機能もあり、GTX 980Tiのポテンシャルを引き出すチャレンジにはベストパートナーになってくれるだろう。