サイコム、Fractal Designのトップが語る「Premium-Line」シリーズ
本稿の最後に、「Premium-Line」シリーズ誕生までの経緯などについて、サイコム代表取締役の河野 孝史氏と、Fractal Designの社長(Managing Director)であるHannes Wallin氏に話を聞いた。
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サイコム代表取締役の河野 孝史氏(左)とFractal Designの社長(Managing Director)のHannes Wallin氏(右) |
- 編集部:
「Premium-Line」シリーズを企画した経緯についてお聞かせください。
- 河野氏
今までサイコムといえばカスタム水冷モデルに代表されるような、どちらかというと「尖った製品」を販売しているイメージがあると思います。それは継続していくのですが、単にモノを売るだけではない、なにか付加価値を加えられないか。モノ+付加価値(サービス)といったトータルソリューションを提供したいと考えました。
- 編集部:
なぜFractal Designとのコラボレーションになったのでしょうか。
- 河野氏
一番の理由は、実際にわれわれ自身が使ってみて「これはいい」と思ったからです。もともとが自作パーツにこだわるスタッフばかりの会社ですから、本当にいいと思ったパーツ以外はBTOに採用したくない。そして、Fractal Designといえば日本の自作ユーザーからの支持も高い「スカンジナビアデザイン」が特徴です。その洗練されたデザインが「Premium-Line」シリーズのコンセプトにマッチしたことも理由のひとつです。
- 編集部:
具体的にどのような点が優れているのでしょうか。
- 河野氏
オールインワン水冷ユニット「Kelvin S24」では、ラジエターに銅を採用することで、経年劣化を抑え、長期間メンテナンスフリーで動作させることができます。また電源ユニット「Edison M 650W」は、内部の作りもさることながら、ケーブルの長さに余裕をもたせるなど作り手に配慮している。1日に何十台もBTOを組み上げる弊社のスタッフからも、非常に評判がいいです。「Define R5」については、皆さんも承知の通り。サイコムでもいち早くBTOのケースとして採用しています。
- 編集部:
Hannesさんは、なぜサイコムとコラボレーションをしようと考えたのでしょうか。
- Hannes氏
PCケースに続き、電源ユニットや水冷ユニットと、ラインナップも増えてきました。そこで、弊社の製品をトータルソリューションとして提供できる、エンスージアスト向けのモデルに強いBTOベンダーを探していました。
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インタビューにはサイコムのプロダクトマネージャー山田 正太郎氏(左)にも同席していただいた |
- 編集部:
実際にサイコムのBTOを見た感想はいかがでしょう。
- Hannes氏
細部のディテールにこだわっている。これは我々のモノづくりに共通しています。サイコムとFractal Designの目指す方向が同じだと感じました。
- 編集部:
具体的にはどのような部分でしょう。
- Hannes氏
グラフィックスカードを水冷化した「G-Master Hydro」シリーズは、非常に興味深いシステムです。さらに「Define R5」のトップ開口部に装着されたサイコムオリジナル防塵フィルタ。「Define R5」を採用するBTOビルダーは世界中にありますが、このようなギミックを追加したのはサイコムだけですね。
- 編集部:
確かにサイコムオリジナル防塵フィルタはいいアイデアですね。
- 山田氏
そう言ってもらえると嬉しいですね。「Define R5」を使うサイコムのBTOはトップ部分にラジエターを装着するので、どうしても見た目とホコリ対策が気になりました。そこで「Define R5」をテストした後、すぐにオリジナル防塵フィルタの製作に取り掛かりました。
- 編集部:
今後「Premium-Line」のようなコラボレーションを他の国でも予定していますか。
- Hannes氏
今のところ、ひとつの国に私たちが認めた1社限定で考えています。