エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.456
2015.11.25 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
次にグラフィックスカードを搭載してみよう。拡張カード、特にグラフィックスカードを搭載するPCI-Express(x16)スロットの延長線上には、2.5インチ専用シャドウベイが存在する。これにより、有効スペースは最大315mmを確保。多くのハイエンドGPUを搭載するグラフィックスカードを収める事ができるだろう。仮に延長線上が3.5インチ用シャドウベイだった場合、有効スペースはおよそ280mmに留まっていた。
検証に用意したのは、奥行き270mmの2スロット占有モデル。もちろん奥行きは許容範囲内に収められていることから、余裕をもって搭載ができた。なお拡張ブラケットのネジ穴は、PCケース内部ではなく、プラスチックカバーが装着された外部にある。拡張スロットの折り返し部分と、ネジ留め用の穴を外部に追い出した分、内部の有効スペースが確保できるというワケだ。
拡張ブラケットとネジ留め部を筐体外部にする事で、内部有効スペースを最大限に確保。コンパクトなPCケースではよく用いられる手法 | |
公称有効スペースは315mm。検証用グラフィックスカードの奥行きは公称280mm。空きスペースは実測で45mmと、おのおのがピッタリ計算通りだった |
電源ユニット搭載テストには、Thermaltake「Toughpower DPS 850W」(型番:PS-TPG-0850DPCGJP-1)を用意した。140mm口径ファンが搭載された80PLUS GOLD認証フルモジュラー電源ユニットで、奥行きは180mmある。
電源ユニット搭載エリアの有効スペースは実測約290mmだけあって、ハイエンドクラスの「Toughpower DPS 850W」は、なんら問題なく搭載できる。隣接する2.5 / 3.5インチ共用シャドウベイ(HDDケージ)まで約100mm強の空きスペースがあり、余ったケーブルを多少無造作に放置しても支障はないだろう。
ハイエンドクラスに属する奥行き180mmの電源ユニットでも、難なくマウント。100mm強の空きスペースにより、モジュラーコネクタの”抜き差しストローク”も十分に確保できている |
編集部に届けられるPCケースはミドルハイクラスが多く、ここ最近でずいぶんと腰を痛めてしまった。あれやこれやといじくり倒すだけあって、重量級のPCケースは検証にも骨が折れる。そんな中、今回取り上げた「Versa H23」はATX対応ミドルタワーながら、重量は4.2kgと軽く、なんとも「身体にやさしい」PCケースだった。
軽量である事が「腰」には良くても、鉄板が薄く華奢なイメージがあり、どこかで「廉価版なり」と決めつけてしまうきらいがある。しかし「Versa H23」はこのクラスとして思いのほか剛性も確保されており、ある程度のハイエンド構成で組み込んだところで、なんら問題はない。
エントリークラスのPCケースは、自作市場を下支えする大切な存在。実用と割り切るユースにとって、最も注目される価格帯のモデルも近頃では完成度が非常に高い |
確かにミドルハイクラスのPCケースと比較すれば、大掛かりな仕掛けはない。とはいえ、最低限の装備はひと通り揃い、サイドパネルはアクリルウインドウ付きで、ドレスアップも楽しめる。トップ部に冷却ファンが増設できない辺りに、廉価版たる要素は感じるものの、敢えてこのクラスを選択する割り切りは必要。これで税抜5,000円台は単純にお買い得ではないだろうか。ありきたりだが、少しでも構成パーツに予算を掛けたいというニーズにとって、ありがたい存在である事は間違いない。