エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.464
2015.12.23 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
ここで、実際の組み込みにはあまり関係がないものの、「黒鼓」の仕組みをもう少し把握すべく、内部構造の要となる部分を解説したい。
まず、電源ユニットを固定するプレートを支える「支柱」に注目してみよう。小型とはいえ、およそ800g程度のSFX規格電源ユニットがネジ留めされるプレートは、マザーボードトレイに固定されたプレートだけでは支えきれない。そこで上面と底面からそれぞれコの字に曲げられた支柱を使う事で、強度が確保されている。
円柱という特殊な形状は構造上、外装パネルこそ厚みを増すことである程度の強度は確保できる。しかし内部はシャーシに該当する骨組みがないため、個別に補強を行う必要がある | |
電源ユニットをガッチリ固定するために使われている、コの字に曲げられた支柱。上面および底面の付け根部分はそれぞれインチネジで取り付けられている |
内部構造に強度を付ける支柱がある一方で、なんとも華奢なパーツも存在する。やや不可解なそのパーツとは、左右に開く外装パネルの蝶番部分に当たる1本のバーだ。上面と底面にわたり固定されたバーは、外部に露出するプラスチック製のパーツで、外装パネル左右が接する辺を隠す役割が課せられている。見栄えとしては重要なパーツではあるものの、組み込み中に誤って破損させる可能性がある。内部に金属製のバーを装着するだけでトラブルは回避できるはずだけに、この点は要改善と言わざるを得ない。
上面と底面を結ぶように装着されている、プラスチック製のバー。見栄えを考慮した外装パーツだが、いかんせん華奢な点がいただけない。撮影および組み込み作業中、持ち手の感覚でついつい掴んでしまい、幾度となく「折る寸前」で手を離すといった場面があった |
マザーボードトレイ裏手の両側面にも、コの字型の支柱が固定されている。こちらは電源ユニットのプレートに固定される支柱とは違い、上面から底面まで1本の支柱で支えられ、「黒鼓」の大黒柱的な役割を果たしている。これを左右に各1本装備する事で、剛性を高めているワケだ。さらに支柱裏側を使い、結束したケーブルを沿うようにレイアウトするにも都合が良い。
「黒鼓」の大黒柱は、マザーボードトレイの左右に固定。マザーボードトレイとL字になる部分には、3つのタイラップ固定用のフックが備わり、ケーブルを結束しておく事ができる。唯一のケーブルマネジメント機構と言える部分だ |
トップ面の裏側をのぞき込み、PowerスイッチとResetスイッチ、そしてファンコントローラーの”楽屋裏”を見ておこう。組み込み作業にはなんら関係のない部分だが、なんでもチェックしてみようというのが、本稿の趣旨でもある。
隣接するスイッチ類は、いずれも大きなワッシャー付きネジを使用。ファンコントローラーの小型基板は2本、PowerスイッチとResetスイッチは各1本でそれぞれ固定されている。神経質になる必要はないが、この手の箇所は手荒くホットボンドで処理される事が多い。廉価版のPCケースにありがちな固定手段だが、「黒鼓」はひと手間掛けたネジ固定が選択されている。
3接点タイプのスライドスイッチが半田付けされる基板。裏側を見る限り実にシンプルな機構である事が分かる | 左がPowerスイッチ、右がResetスイッチ。ケーブル接続部の熱収縮チューブも丁寧に処理されているように見える |