懐かしのPCパーツ図鑑番外編
2016.01.01 更新
文:GDM編集部 池西 樹
Iwill「DVD266u-RN」(2001年10月発売 / 製品情報なし) |
「DVD266u-RN」は、2001年10月に発売されたPentium III最終コアTualatinに対応するデュアルSocket 370マザーボード。クロック向上が頭打ちとなり、マルチコア・マルチスレッド処理の効率化が進む現在と違い、当時のCPUはシングルスレッド性能を重視した動作クロック至上主義。そのためマルチスレッド処理を高速化するには、デュアルCPU環境を構築する必要があった。
マルチコアCPUは影も形もなかった当時、デュアルCPU構成に憧れたという人は決して少なく無いだろう |
しかし、Tualatinに対応するモデルはサーバー向けの高価な製品ばかり。そんな中コンシューマ向けに登場した「DVD266u-RN」は、これまでの半額以下30,000円弱で購入できる画期的な製品だった。すでにIntelからは次世代CPU Pentium 4も発売されていたため、かなり悩んだのを覚えているが、安価にデュアルCPU環境を構築できる魅力に負け、結局購入を決意したというわけだ。
マニュアルにはATXフォームファクタと記載されているが、基板サイズはE-ATXに近い305×260mm |
製品の開発を手掛けたのは、2006年に世界有数のEMSメーカーFlextronics Internationalに買収されたIwill。チップセットは現在では完全に組み込み向けにシフトしたVIA Technologies,Incの「Apollo Pro 266T」を採用する。またメモリはPentium IIIプラットフォームで主流のSDRAMではなく、DDR SDRAMに対応。特にマルチコア(マルチスレッド)環境では、メモリアクセスのパフォーマンスへの影響が大きいため、当時としては大きなアドバンテージだった。
廉価モデルとしてRAID機能非対応の「DVD266u-N」もラインナップされていた | 最近ではあまり見かけることのない黄土色のPCBを採用する |
最後に簡単にスペックを紹介しておくと、メモリスロットはDDR SDRAM×4(最大4GB)、ストレージはIDE×4で、拡張スロットはAGP Pro×1、PCI×5を搭載する。現存する規格はPCIのみと、今となっては時代を感じるさせる作りだが、当時はまさに最新かつ最高峰に近い装備を備えていた。
なんとも年季を感じさせるパッケージ。サイズは実測で375×333×75mmと、かなり大柄 | |
マザーボード本体は、半透明のプラスチックケースに収納されていた |