エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.469
2016.01.20 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
ボトムレイアウトの電源ユニット。搭載テストには、Thermaltakeの80PLUS GOLD認証モデル「Toughpower Grand」(Fully Modular)シリーズ(1200W)を用意した。140mm口径ファンを搭載するモデルで、奥行きは180mmある。
おさらいすると、電源ユニット搭載スペースは標準状態で220mmまで、冷却ファンを増設した場合は180mmまでとされる。実際に搭載してみると、隣接する2.5 / 3.5インチシャドウベイまでの空きスペースは十分確保できており、ハイエンドモデルにも十分対応できる事が分かった。
奥行き180mmの電源ユニットを搭載。ケージタイプの2.5 / 3.5インチシャドウベイまでの距離は、実測で約100mm程度。ロングタイプのモデルもゆったりとマウントする事ができそうだ |
「F31」は水冷構成との相性もいい。それもそのはずで、オールインワン水冷ユニットだけでなく、DIY水冷構成にも対応する「Tt LCS 水冷システム認証ケース」(LIQUID COOLING SUPPORTED)であるからだ。過去の検証でも再三登場するこの”称号”は、ドライブベイユニット等、内部を構成するパーツのほとんどが着脱できる「Fully Modular Design」設計に由来。大型ラジエターやポンプ、リザーバー等、水冷パーツのマウントに最適化されている。
「F31」は「F51」に比べ小型化されたとはいえ、設計の工夫により一般的なミドルタワーPCケースよりも柔軟にレイアウトが変更できるだけあって、本格的DIY水冷を構築する事ができる。ここではメーカーの導入例を紹介しながら、ラジエターの搭載スペースに着目。装着感などを見ていきたい。
DIY水冷パーツにも力を入れるThermaltake。さらにラインナップが強化されるようで、登場を心待ちにしたい |
ラジエターの搭載テストには、Thermaltake「Pacific RL240 Radiator」を用意。外形寸法はW129×D282.5×H64mmで、これに25mm厚の120mm口径冷却ファン2基を搭載している。
とにかく元気なThermaltake。先月はオープンフレームPCケース「Core P5」を検証、その余韻さめやらぬ内に正統派静音ミドルタワー「F31」をすみずみチェックしてきた。
2015年7月にリリースされたE-ATX対応の「F51」をひとまわりサイズダウンし、より多くのユーザーの使い勝手を考慮して投入されたATX対応ミドルタワー「F31」は、遅れてきた本命と言えよう。
「F31」の良さは扱い易いサイズはもとより、「F51」のコンセプトを受け継いだ「Fully Modular Design」により、内部構造が自在に変更できる点にある。単にドライブベイが着脱できるPCケースはこれまでにも販売されている。しかし取り外したケージタイプのシャドウベイから3つのトレイ全てを無駄にすることなく、背面に搭載位置を移動させる”引越し”で対応。拡張性はそのままに姿を変える設計は、近頃のThermaltakeが得意とするところだ。
遮音対策済みのトップパネルカバー「Sound-damping Covers」も「F51」同様に採用され、使い勝手は実にいい。「遮音材」付き開閉ドアの存在も頼もしく、重厚なサイドパネルと相まって、クラス上位の静音性が確保できている。一方でDIY水冷を得意とする一面もある。
さて、どんなパーツ構成で組み込もうか。変幻自在な「F31」はいい意味で「とらえどころの無い」PCケースとも言えるだろう。そして完成度は実に高い。