エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.473
2016.02.04 更新
文:GDM編集部 池西 樹
Skylake世代のASRock製マザーボードの特徴の一つに、エッジフリーデザインのPCI-Express3.0(x1)スロットがある。もちろん帯域幅の制限はあるものの、コネクタ形状の影響を受けずに拡張カードを増設できるのは評価できるポイント。特に複数のカードを増設することが多いワークステーションでは、強力な武器になるだろう。そこで、今回はグラフィックスカード、M.2-PCI-Express変換カード、USB3.1カードの3種類の拡張カードを増設し、動作を確認してみることにした。
今回はGeForce GTX 750 Tiを搭載するグラフィックスカードにて検証を行っているが、認識に問題はなし。パフォーマンス面でのデメリットも約3%とそれほど大きくなく、オンライントレードなどのマルチモニタ用や、データマイニング用に複数のグラフィックスカードを増設したい場合には有効に活用できるだろう。
Samsung「SM951-NVMe」の256GBモデルを「M.2-PCIe」に装着。(x4)および(x1)スロットに搭載した場合のパフォーマンスを検証した | |
PCI-Express3.0(x1) / (x4)いずれのスロットに装着した場合でもNVMe SSDとして認識 | |
PCI-Express3.0(x4)スロット搭載時の「CrystalDiskMark 5.1.1」 | PCI-Express3.0(x1)スロット搭載時の「CrystalDiskMark 5.1.1」 |
グラフィックスカードでは、思いの外影響が少なかったPCI-Expressの帯域幅だが、M.2 SSDでは大きく足を引っ張り、シーケンシャル・ランダムとも約800MB/secで頭打ち。最新M.2 SSDを使用するにはやや心もとなく、性能を重視するなら素直にPCI-Express3.0(x4)スロットに接続したほうがいいだろう。とは言え、SATA3.0(6Gbps) SSDのパフォーマンスは大きく上回っており、マルチグラフィックス環境などでスロットが塞がっている場合には帯域幅に目をつぶって使用するのもアリだ。
PCI-Express3.0(x1 / 8Gbp)でもSATA3.0(6Gbps)の帯域幅を上回ることから、スコアに大きな変化はなし。より高速なストレージや2台同時接続時には影響が出てくる可能性はあるものの、一般的な使い方であればそれほど神経質になる必要はないだろう。
冒頭でも触れた通り、Skylake世代ではコンシューマ向けチップセットのXeonサポートが打ち切られ、動作するのは専用チップIntel C230シリーズのみ。これに伴い、Xeon E3-1200 v5シリーズを使うには、高価なサーバー・ワークステーション向けマザーボードを使用するしかなかった。そんな中、コンシューマ向けメインストリームモデルと同価格帯で登場した「E3V5 WS」はなかなかインパクトのある製品だ。
Intel C232チップとコンシューマ向け機能を融合したASRock「E3V5 WS」。Xeon E3-1200 v5シリーズやECCメモリを低コストで運用できる |
またコスト面もさることながら、コンシューマ向けの使い慣れたインターフェイスや「インタラクティブUEFI」をはじめとした、ASRockが得意とする独自機能をそのまま使用できるのも大きな魅力。M.2スロットやUSB3.1ポートが非搭載となるなど、このクラスの製品としてはやや装備はシンプルだが、エッジフリーコネクタの高い拡張性により大きな問題にはならない。コストやハードウェアの特殊性からXeon&ECCメモリの導入に踏みきれなかった人には、「E3V5 WS」はまさにうってつけの1枚となるだろう。