エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.474
2016.02.07 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ベンチマークテスト中の高負荷動作においても「GV-N98TXTREME W-6GD」は極めて安定しており、動作音も静粛そのものだった。そこで本項では、自慢のオールインワン水冷クーラー「WATERFORCE All in One」の挙動を検証してみよう。テストにあたっては、「Fire Strike“Ultra”」プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。GPU温度とファン回転数は「GPU-Z」、騒音値はデジタル騒音計を使用して測定を行った。
GPU温度計測(℃/室温20℃) | |
ファン回転数計測(rpm) | |
騒音値(dBA/室内騒音33.2dBA) |
GPU温度はアイドル時で20℃台、高負荷時でも50℃台半ばに抑えられており、あらためて水冷仕様の冷却パフォーマンスが浮き彫りになる結果となった。イマドキの空冷クーラーのようにファンが停止するシーンこそないものの、回転数自体はほとんど上がらず、ノイズも40dBA以下と極めて優秀。バラック状態という恵まれたテスト環境であることを差し引いても、文句のつけようがない結果と言える。このアドバンテージは、さらなるオーバクロックに挑戦する際も大きく影響するだろう。
最後にベンチマーク中における消費電力を振り返り、テストセッションを締めくくろう。測定環境は、先ほど同様に「Fire Strike“Ultra”」を10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。ワットチェッカーを使用して消費電力を計測した。
消費電力計測(W) |
ウルトラハイエンドクラスのグラフィックスカードながら、最大クロックの「OC」モード時でも400W未満にとどまった。さすがは低燃費なMaxwellアーキテクチャと言ったところで、これ以上のオーバークロックを狙う際でも消費電力が足を引っ張ることはなさそうだ。また、「ECO」モードと「OC」モードとの比較でも消費電力増はわずか12W。極めてバランスのよいチューニングが施されていることが分かる。
誰もが一度は憧れたことがありそうな、グラフィックスカードの水冷化。その最大のメリットとは、言うまでもなく空冷では味わえない優れた冷却パフォーマンスにある。「WATERFORCE All in One」はまさにそうした魅力を体現するクーラーであり、空冷最高峰のクーラーを上回る圧倒的な冷却性能、さらに申し分のない静粛性をも併せ持つ。改造によるリスクを負うことなく、手軽に水冷ソリューションが手に入る「GV-N98TXTREME W-6GD」は、間違いなくGTX 980 Tiグラフィックスカードにおける屈指のエリートモデルだ。
空冷では味わえない、圧倒的冷却を実現する水冷機構。「GV-N98TXTREME W-6GD」は、それを最もタフで強力なGTX 980 Tiカードに載せた1枚だ |
さらにリファレンス仕様を水冷化するカスタムキットとは異なり、「GV-N98TXTREME W-6GD」は「GPU Gauntlet Sorting」による最高の選別チップ搭載モデルである点も大きなトピック。強靭さ極まる基板設計も相まって、リファレンスベースの遥か上のレベルで水冷化を実現している。もちろんGTX 980 Tiカードの中で群を抜く高価なモデルであることから、必ずしも万人向けでないことは確か。それでも最高水準の完成された水冷グラフィックスを求めるなら、十分すぎるリターンを受け取ることができるだろう。