エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.480
2016.03.14 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
冷却ファン搭載スペースと密接に関係し、PCケース選びの重要なファクターとなるラジエター搭載スペース。一般的に、CPUクーラー搭載スペースの確保や、内部の熱籠もり対策が苦手なミニPCケースにとって、水冷ユニットの導入は極めて有効な熱対策になる。狭い筐体で水冷仕様、そしてハイエンドなパーツ構成は、Mini-ITX規格市場を拡大させた、最大のトレンドなのだ。
「Manta」のラジエター搭載スペース。フロントまたはトップに最大280mmサイズラジエターが搭載できる点は、実にイマドキの設計である事を裏付けている |
今回の検証では、280mmサイズラジエターを採用するNZXTブランドの「KRAKEN X61」(型番:RL-KRX61-01)を用意。トップ部にラジエターを搭載するスタイルで、水冷PCを構築してみた。
冷却に有利な大型ラジエターが搭載できる点は、構成パーツの選択肢を大きく拡大してくれる。「KRAKEN X61」の280mmサイズラジエターは「Manta」にとってドンピシャのオールインワン水冷ユニットだ | |
140mm口径の冷却ファンを内部から固定。ラジエターを冷やしつつ、PCケース内部の空気を外部へ一気に排出する役割を果たす |
膨らんだトップパネルデザインにより、厚さ27mmのラジエターは一切干渉しない。内部側から固定する2基の140mm(25mm厚)口径ファンは、マザーボード寄りのネジが締め付けにくく、全長が短いスタビードライバーを用意しておきたい。また、チューブの方向はリア側にすると、標準装備のリア排気ファンと干渉するため、フロント側で搭載する事になった。総じて搭載には問題はなく、特別なスキルも必要としない。
自作PCは、自由なパーツ選択により、用途や予算に合わせてベストなPCを組み込む事ができる。加えてドレスアップパーツも充実しており、唯一無二の個性的なマシンが構築可能。自作PCならではの強みだ。そこで最後に、昨年末発売が開始された、LEDライティングキット「HUE+」を使い、「Manta」をドレスアップしてみよう。「HUE+」についてはこちらにも詳しいので、是非参考にして欲しい。
今や一目置かれる人気メーカー、NZXT。初のMini-ITX対応PCケースとして多くの注目を集める「Manta」は、想像以上に完成度が高く、細部まで熟成されていた。「Phantom」も然りだが、外観のデザインからややエキセントリックな内部構造を連想するものの、実は緻密に計算された設計に感心させられる。開発担当者は、かなりの自作好きで、そのギャップを楽しんでいるかのようだ。
構成パーツの居住性が悩みの種となるミニPCケースにおいて、張り出したデザインを上手に利用し、要所に空間を確保。コンパクトなボディながら、内容の濃いハイエンド構成パーツが詰め込まれている様は、敢えてスモールPCフォームファクタを選択する自作愛好家が、最も好むシチュエーションだ。「Manta」はそれを十分に満足させてくれる。仕事用サブマシンに1台欲しくなった。