エルミタ的「編集部で使ってみた」
2016.04.13 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
ポインティングデバイスを装備したキーボードを設計する上で、あえて大玉のトラックボールを搭載させたTesoroには、まずは喝采を送りたい。単にカーソルを動かせるだけでなく、操作する楽しさが味わえる大玉ボールを備えた「Harpe TL」は、それだけで貴重な存在。いわば“オンボード”の機能であることから、世のトラックボーラーたちが操る愛機をそのまま置き換えるものではないものの、一定水準を超える操作感を提供してくれる。メカニカルキーボードによる良質な打鍵感と、好物のトラックボールを備えた環境が1台で用意できる、この点が最大の魅力と言えるだろう。
大口径のボールを備えたメカニカルキーボードという、ほぼ唯一無二な仕様の「Harpe TL」。すでにそれだけで貴重な存在、トラックボールのグレードアップを期待するのは贅沢かしら? |
また、搭載するKailhスイッチもCherryに匹敵する打鍵感で、キーボードとしての不満はまったくない。やや大きめの筐体によるものか、深みのある残響音をともなった打鍵感には、奇妙な心地よさがあった。Cherry搭載モデルが支配的な日本のメカニカルキーボード市場においても、素直に受け入れられるモデルのように思える。外装やマニュアルには(多少怪しげながら)日本語表記もあり、今後の国内投入の見込みもありそうだ。
そもそもトラックボール自体がややマイノリティの気味のあるデバイスであることから、「Harpe TL」はそれだけで異色の存在といえる。こうした変わり種をリリースするTesoroの冒険を応援するとともに、これからも我々をワクワクさせてくれるキーボードを生み出してくれることに期待しよう。