エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.485
2016.04.29 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
最終セッションでは、「SST-PM01」と水冷システムの関係について触れておこう。イマドキのPCケースといえば、Mini-ITX対応モデルでさえ、水冷ユニットの構築を念頭に設計されている。例に漏れず、「SST-PM01」も70.3リットルとされる広い内部容積を生かし、計3箇所にラジエターが搭載可能だ。
「SST-PM01」のラジエター搭載スペース |
従来からのシャドウベイエリアを空きスペースにすることで、フロントパネル裏側には120 / 140 / 240 / 280 / 360mmサイズラジエターが搭載できる。フロント部には3基のLED内蔵140mm口径ファンが搭載済みだけに、ドレスアップ要素を残しつつ、ラジエターの冷却を担当させるといった使い方も可能だ。
下部に装着されるプラスチックカバーには、シャッターが付く。これを開くと、約50mm弱のスペースを確保。ラジエターが搭載できるというワケだ | |
製品サイトからダウンロードできるマニュアルには、詳細な寸法が記載されている。SilverStoneはユーザーが「知りたい数値」を事前に開示。購入前、構成パーツを決める際は実に役に立つ |
当然ながら、トップパネル部にもラジエターが搭載できる。フロントパネル裏側同様、120 / 140 / 240 / 280 / 360mmサイズに対応。大型ラジエターの設置場所をフロントまたはトップから選択できるほか、いずれにも搭載させたデュアルラジエター構成での運用も可能だ。
DIY水冷で重要なリザーバータンクの搭載も想定されている。フロントパネル裏側の縦列には、スリットが設けられ、固定用ブラケットをネジ固定できる。上下スペースは実測で約340mm。大型リザーバータンクの設置が可能だ。
リザーバータンク搭載スペースは実測で約340mm。ポンプ一体型も選択できるだろう。なおフロントパネル裏にはラジエターが搭載できなくなる |
最後にSilverStoneのオールインワン水冷ユニット「Tundra Series TD03-E」を用意した。120mmサイズラジエターの極めてスタンダードなオールインワン水冷ユニットだ。リア標準搭載の140mm口径ファンを外し、ラジエターを固定。120mm口径ファンをデュアル搭載させる「TD03-E」は、どこにも干渉せずにマウントする事ができた。
リアにラジエターを搭載する、最も見慣れたオールインワン水冷ユニットのマウントスタイル |
SilverStoneの新基軸、「Primera」シリーズその第1弾となる「SST-PM01」。先に秋葉原で行われた展示会で、マーケティング・マネージャーのTony Ou氏に話を聞くと、デザイン面にこだわった「魅せるPCケース」が最大のコンセプトであると言う。
SilverStoneの代表格「RAVEN」シリーズは、「正圧設計」を軸に、高い「拡張性」と空冷中心の「高エアフロー」の2点が最大のセールスポイントだった。一転「SST-PM01」では、フロント140mm口径ファン3基の標準装備により、高エアフローはアピールされているものの、LEDイルミネーションギミックの印象が明らかに強い。ここはエアフローよりも見栄えに軸を移したPCケースと見るべきなのだろう。
マーケティング・マネージャーのTony Ou氏と、「魅せるPCケース」がコンセプトの「SST-PM01」シリーズ |
スーパーカーをモチーフにしたというデザインも相まって、外観は極めてアグレッシブ。ライバルの少ない光沢ホワイト塗装は、潜在的ニーズの掘り起こしも十分に期待できるだろう。ブラックボディにレッドLEDの組み合わせもベストマッチ。自動車のボディカラーを選ぶように、チョイスに迷うかもしれない。それも楽しい。
さて、新シリーズは市場にどう受け入れられるのだろうか。完成度に申し分はない「SST-PM01」だが、これまでのSilverStoneとは違うコンセプトである事は明らかだ。ある意味第2弾のお手本になる重要な第1弾。自作派からのジャッジを待とう。