エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.492
2016.05.28 更新
文:GDM編集部 松枝 清顕
外装周りをチェックしたところで、次にボディ内部を解説していこう。近頃は既定路線にとらわれない、大胆な設計のPCケースに注目が集まる中、Antec「P9」の内部レイアウトはいたって堅実。ともすれば組み込みにマニュアルを必要としない、成熟した内部構造が採用されている。
Antec「P9」のセールスポイントは「圧倒的な静音性と拡張性」とされる。このうち、「静音性」については外装周りの遮音性の高さを確保しつつ、騒音源となる駆動系パーツのチョイス次第で、より静かなPCが構築できる。そこで重要になるのは、エアフローレイアウトだ。「P9」では最大7基の冷却ファンが搭載できるようになっている。もちろん必要箇所だけ設置すればいい。システムにより、最適なエアフロー環境を「静音ベース」で上手に構築したい。
「P9」のエアフローレイアウト。搭載可能箇所をすべて埋めると、最大で計7基の冷却ファンが搭載できる |
5.25インチオープンベイの下部には、120mm口径ファン2基が標準で装備されている。マウント位置にはフロントパネルのカバーで密閉されているため、ボトム面の隙間から吸気し、筐体内部にフレッシュな外気を送り続ける役割を果たしている。なおフロント部には、最大240mmサイズラジエターの搭載もできる。
フロントパネルを外した状態で、標準装備品の120mm口径ファン2基をチェック。スライド着脱式防塵フィルタは、シャーシ面に固定されている事がわかる | |
標準搭載ファンはインペラ数7枚の25mm厚モデル。吸気はフロント下部の隙間から行う |
ABS樹脂製のトップカバーを取り外すと、「P9」では最も広い冷却ファン増設スペースがあらわになる。オプションで搭載できる冷却ファンは、120mm口径なら最大3基、140mm口径なら最大2基で、一般的な使い方として、筐体内部の熱を一気に排出させる事ができる。
ABS樹脂製のトップカバーを外すと、冷却ファン増設スペースが確認できる。ネジ穴は内側が120mm、外側が140mm口径用 |
また、トップカバーには冷却ファン搭載スペースを塞ぐことで、静音性を高める「トップファンカバー」が装備されている。着脱式のプラスチックカバーは、最も面積が広い「A」、さらに前方に向かって幅の狭い「B」「C」の合計3枚で構成。「A」を取り外すと240mmサイズまでのラジエターまたは120mm口径ファン2基、「A」+「B」を取り外すと280mmサイズまでのラジエターまたは140mm口径ファン2基、「A」+「B」+「C」を取り外すと、360mmサイズまでのラジエターまたは120mm口径ファン3基が搭載できるようになる。このように、静音に配慮した密閉性の確保は、製品コンセプトを象徴するギミックだ。
「トップファンカバー」は右からA・B・Cの3枚構成 | 最も面積が広いAを取り外した状態 |
AとBを取り外した状態 | すべてのカバーを取り外した状態 |
リアにも120mm口径ファンが1基標準で装備される。今さら説明するまでもなく、熱源となるCPUソケット周辺または、CPUクーラーの熱を、最短で外部に放出する事ができる重要な役割を担う。なおこの部分には、最もベーシックな120mmサイズラジエターが搭載できる。
評価サンプルは非搭載で借り受けているため”空き家”だが、リア部には120mm口径ファン1基が標準で装備される。ちなみにネジ穴は近頃採用例が多いスリットタイプではなく、単なる丸穴タイプだった |
電源ユニットと同一フロアとなる底面にも、120mm口径ファン1基が増設できる。その役割は、ハイエンド志向のグラフィックスカードに向け、外部のフレッシュなエアを当てること。または単に外気を取り入れる”風の通路”の増設が想定される。
外気を取り込む事ができる、ボトム部の増設ファンスペース。ただし電源ユニットと場所を分け合う関係にあるため、共存させるためには増設ファン上部の”空中権”を確保する必要も頭に入れておこう |