エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.496
2016.07.07 更新
文:GDM編集部 絵踏 一
動作テストが一段落したところで、次は趣向を変えてベンチマーク中における「GTX 1080 G1 GAMING」の冷却パフォーマンスを振り返ってみよう。動作中も極めて静粛に動作していた「WINDFORCE 3X」だが、実際の数値はどうなっていたのだろうか。その挙動をチェックするため、「3DMark」の「Fire Strike“Ultra”」プリセットを10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。「GPU-Z」を使用してファン回転数とGPU温度の計測を行った。
ファン回転数計測(rpm) | |
GPU温度計測(℃) |
初期設定ではセミファンレス動作が有効になっていることから、アイドル時は横並びで0rpm、温度も35℃程度だ。一方で高負荷時はGPU温度が70℃前後まで上昇しているが、ファンは60%ほどしか回転しておらず、だいぶ余裕を残していることが分かる。まさに静音重視のために“手加減”しているような状況のため、必要であれば「XTREME Engine」の設定を詰めてみよう。冷却性能の伸びしろも大きく、オーバークロックのポテンシャルにも大いに期待がかかる。
それでは最後に、高負荷時における「GTX 1080 G1 GAMING」の消費電力をチェックしつつ、テストセッションを締めくくろう。テストにあたっては、先ほど同様に「Fire Strike“Ultra”」を10分間ループさせた際の最大値を高負荷時、10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時に設定。ワットチェッカーを使用して消費電力を計測した。
消費電力計測(W) |
ワットパフォーマンスの高さに定評のあったMaxwellから、さらに省電力性能が向上したPascalアーキテクチャ。ほぼ最小構成ではあるものの、フルロード時でも300W未満はさすがと言ったところだ。クロック変動がおとなしいせいもあるが、簡易チューニングの3モードともにほぼ消費電力の変動はなし。ハイエンドグラフィックス相応の大容量電源を搭載しているなら、さらなるオーバークロックへのチャレンジにも神経質になる必要はなさそうだ。
新たな最強のシングルGPUとして登場した「GeForce GTX 1080」。追っかけでアッパーミドルの「GeForce GTX 1070」も参戦し、しばらくPascalアーキテクチャのグラフィックスカードが自作市場を賑わせてくれそうだ。GTX 1080搭載カードも入荷即完売の繰り返しが緩和されつつあり、そろそろ落ち着いてモデルの品定めができそうな気配がしている。
とは言え、余力十分のクーラーに強靭な電源回路、さらに完成度を増したユーティリティによる豊富なカスタマイズ要素など、「遊んでみたい」と思わせる一面も大きな魅力。リファレンス準拠の電源仕様で“カツ入れ”には限界があるかもしれないが、その分安全圏でカジュアルにチューニングを楽しむことができる。全方位に嬉しい要素が詰まった秀作、買って後悔しない1枚になってくれるだろう。